海事都市である今治市を舞台に開催される西日本最大の国際海事展「バリシップ2025」が、5月22日(木)~24日(土)までの3日間にわたってテクノポート今治(愛媛県今治市)他の複数会場で開催された。2年に1度開催されるバリシップは今回で9回目を迎え、盛り上がる造船業界を反映するかのように多くの来場者が訪れた。3日間の来場者数は前回2023年の16,734人を大幅に上回り18,785人となった。
新造船について現在の最も大きなテーマは新燃料の取り組み。GHG(温室効果ガス)ゼロエミッションの実現に向けて低炭素燃料への代替などを進めている。グリーンメタノール、LNG、アンモニアなどの新燃料の検討が始まっており、会場では特にLNG技術に関する展示が目立っていた。
新造船建造量国内トップである今治造船はゼロエミッションに向けた方向性をアピールした。同社では今年、LNG燃料の自動車運搬船やばら積み運搬船を竣工しており、先進の建造技術開発を紹介。今後の方針は「メタノール船も作っていく」としている。
塗料関連では中国塗料が環境対応型の製品群をPRし、中でも船底防汚塗料で燃費低減を提案した。「SEAFLO NEO SL Z」の上位品としてこのほど「SEAFLO NEO SL ZX」を新たに開発した。今回は製品名発表にとどまり、近々本格的に国内展開していく予定。防汚性能を高めることで停泊可能期間を延ばすことが可能となる。
関西ペイントマリンは30周年を迎えた船底塗料「タカタクォンタムシリーズ」の蓄積したデータを活用した「Paintソムリエ」をアピールした。各種データ解析に基づいて最適な防汚塗料を提案する。船の状態を確認した上で最適な塗装仕様を組むことで、運行におけるCO2排出削減を支援する。
日本ペイントマリンは親水・疎水ミクロドメイン加水分解型塗料「アクアテラス」を出展。新規加水分解ポリマーを採用し画期的な完全防汚剤フリーの設計。長期防汚性能とポリッシングにより優れた燃費消費量・CO2排出量の削減効果を実現する。その他に親水・疎水ナノドメイン加水分解型防汚塗料「FASTAR」などを出展した。