ドローン技術を活用して建築現場の効率化、省力化、情報化とドローン技能者の育成を目的とした「日本建築ドローン協会(略称:JADA)」が9月1日に設立、同29日、都内で記者説明会を開いた。設立メンバーは、芝浦工業大学教授の本橋健司氏を会長に、建築、ドローンそれぞれの分野の専門家や学識経験者が役員に就いた。

農薬散布や測量、土木構造物の検査・点検、物流、空撮などさまざまな分野でドローンの利活用が広がっているが、建築分野ではまだほとんど利用されていない。建築工事は人の生活空間の近くで行われるため、安全性、プライバシー、騒音などクリアしなければならない課題が多いためだ。

一方、ドローンの飛行技術を持つ会社が建物の調査・点検などを行うケースも出てきているが、建築の非専門家による行為への懸念も指摘されている。

JADAではドローン団体と連携しながら、有人地帯におけるドローン飛行へのさまざまな課題克服へ向けて取り組むとともに、建築とドローンそれぞれの知識や技術・技能を携えた人材の育成を行う。育成プログラムの策定を行い、1年後をめどに技能者講習会を実施したい考えだ。

建築分野でのドローンの活用は、新築工事における完成検査や既存建物の点検、改修工事における現場調査など幅広い利用が期待されている。ドローン機材そのものの技術進歩に加え、可視カメラ、遠赤外線カメラの搭載で外装撮影から漏水などの非破壊検査も行えるレベルになっている。更なる技術進化によって、将来的には外壁タイルの打診検査までカバーされることが期待されている。

本橋会長は「既存の調査・診断技術の活用を基本とし、その一助してのドローン技術」としながらも、「建築とドローンそれぞれの技術の融合によって建築技術の効率化、合理化と信頼性向上を目指す場にしたい」と抱負を述べた。

なお、JADAでは個人会員、法人会員、賛助会員を募集する。また、10月23日10時から東京千代田区の如水会館で一般企業・団体向けの説明会を行う。

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