CLUE(本社・東京都品川区、代表取締役CEO・阿部亮介氏)は2017年から屋根診断をドローンで行うサービス「DroneRoofer(ドローンルーファー)」を展開。大手ハウスメーカーにも採用されるなど、導入実績を伸ばしている。「業務効率化などを目的に、建築塗装店でも導入していただくケースが増えている」と塗装事業者を中心に注目を集めている。

ドローンルーファーは従来人が屋根に上って行っていた点検をドローンで行うことができるもの。アプリ上で操縦から見積作成、報告書まで完結できるのが特長。訪問先で調査報告と見積もりを作成することができ、足場を組む必要がなく点検作業も5~15分で終えられるため、業務効率を向上させる。屋根からの滑落防止や人材の有効活用、企業ブランディングなどさまざまな理由から導入が加速している。

操縦はiPadをタップして行うことで、直感的な操作性を実現。ドローンに搭載されたカメラの視点から操作できるようにしている。ドローンは上昇していくと目視では確認しづらいことがあるため、ラジコンのようなコントローラーではドローンの操作を誤り事故になる危険もある。カメラの視点から操作することでより操作しやすくなっている。

その他、ドローンを飛行させる際に必要となる航空局への許可申請や見積もり時に必要な面積計算、施主への点検報告書の作成まで一気通貫で行うことができる。特に飛行申請では、法律の改正で申請の方法なども変わることがあるため、常に最新の情報を基に申請代行を行う。

その場でドローンを飛ばし、リアルタイムで診断ができることから、施主により納得感を感じてもらえることが大きなメリットになり、受注率の向上にも寄与する。

同社では使用企業に診断時の近隣住民へのあいさつを勧めている。周りへの配慮が主な理由だが、屋根診断を依頼する家の周りには同じ時期に建てられた建物も多く、家に関して同じような悩みを持っている人が少なくない。

「ドローンでの調査時に近所の人々が集まり、現場のすぐ隣の家、また更に隣の家からも依頼が舞い込んだ事例もあります」(担当者)と波及効果を生むケースもある。

現在同社では、ユーザーに対するサポートを特に重要視している。ドローンの操縦は導入時の研修でフォロー。 その後も操作の不安には電話やメールで相談できるカスタマーサポートセンターを設置している他、LINEの公式アカウントでは、メンテナンスの方法などを動画で掲載し、トラブル防止に役立てている。

「操縦の不安から案件を増やしたいといった相談、どのようにドローンを活用していくかという踏み込んだ質問までさまざま。一つ一つ丁寧に回答していくことで信頼関係を深めたい」(担当者)と顧客に寄り添う姿勢を見せる。その他、事故が起きた際の原因究明やドローンの不具合といった問題にも迅速に対応している。

担当者は「ドローンを活用することで、点検作業が効率化できるだけでなく、若年者や女性が興味を持つきっかけになれば建築業界で叫ばれている人材不足の解消の一助にもなる」との見方を示す。

同社では、今後アプリ版だけでなくウェブ版をリリースするなど更なる業務効率を向上させるサービスを拡充していく。