広がるカラーユニーバーサルデザイン
推薦配色セットを刷新

さまざまな色覚を持つ人が等しく色情報を認識できるための情報伝達手段「カラーユニバーサルデザイン」が広がっている。色による情報伝達が多様化、多色化している現代社会において、多くの人が色を見分けやすくするように配慮した色や配色の設計思想。その基準ツールである「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」の最新版が発行された。


近年、色による情報伝達が増えている。公共施設の案内表示や鉄道の路線図、工業製品、ディスプレイ上の各種の表示、印刷物や教科書、ゴミ箱の分別表示からテレビのリモコンのボタンに至るまで色を多用して情報を伝える物や場面が増加。

ただし、こうした色や配色の多用では、赤と緑、ピンクと空色、青と紫、深緑と茶など配色によって色の見分けがつかない人が一定数いるため注意も必要だ。色弱やロービジョン(弱視)、緑内障疾患や加齢による白内障など色や色の違いを正確に知覚できないためで、そうした色覚特性を持つ人が日本には500~600万人いるとされている。

それらの多様な色覚特性に配慮した配色やデザイン上の工夫がカラーユニバーサルデザイン(CUD)で、多くの自治体や企業などが導入、各種施設や製品に反映され広がりを見せている。

そのCUDの事実上の基準になっているのが東京大学・伊藤啓准教授の研究室を中心に、日本塗料工業会(塗装用)、DICグループ(印刷用)、石川県工業試験場(画面用)及びカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)が2013年に発表した「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」及び「同ガイドブック」だ。

CUD推奨配色セットは色覚の多用性に配慮し、色で情報を伝えるための実用的なカラーパレット。サイン・グラフなどの小面積を目立たせたい「アクセントカラー」9色、案内図・地図など広い面積の塗り分けや背景色に用いる「ベースカラー」7色と白、グレー(濃・淡)、黒の「無彩色」4色の計20色で構成されている。

開発に当たっては、さまざまな色覚特性の当事者に協力してもらい、色の見え方に関する検証と調整を重ねた。数千色のカラーチップの中から赤や黄など一般名称で捉えられる色にグルーピング化し、例えば一般的な色覚の人が見て赤であっても色覚特性によって異なる色味に見える色を排除、双方が同じ色味に見える色に厳選していく作業を繰り返した。

その結果、①さまざまな色覚の人に見分けやすく②色名を使ってコミュニケーションでき③塗装・印刷・画面の異なる媒体で再現可能な色として調整、選定された推奨配色セットとして確立。それぞれの色がデザインの現場で指定できるよう塗装・印刷・画面表示の用途別に色彩値も付された。

一方、推奨配色セットの普及とともに具体的な使用イメージや使用時の留意点などを充実させる課題も見えてきたことから、それらをまとめたガイドブックを作成、普及啓発を図ってきた。

それら第1版の発行から5年が経過、社会で幅広く利用されてきた使用実績をフィードバックしつつ再検討作業を行い、先月、最新の推奨配色セットを収録した第2版を発行した。

第2版では、塗装用、印刷用、画面用の各用途で更に見分けやすいよう色の微調整を行った。また、推奨配色セット20色の中でも「比較的見分けやすい組み合わせ」と「見分けにくい組み合わせ」の具体例を塗装・印刷・画面用でより詳細に展開している他、各用途の具体的な使用例も充実。より使いやすいガイドブックとしてブラッシュアップした。

同推奨配色セットが収録されたガイドブックの最新版は、CUDOのホームページ(http://www.cudo.jp/)からダウンロードできる。

なお、日本塗料工業会が来年1月に一般販売する標準色見本帳K版にもカラーユニバーサルデザイン推奨配色セットの最新版が収録される予定。



CUD推奨配色セット
CUD推奨配色セット

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