溶剤を含まない低粘度の多官能アクリレートモノマー「ニューフロンティアMFシリーズ」を開発し、市場展開に弾みをつける第一工業製薬。「溶剤タイプからの置き換わりとして相応の需要が期待される」(担当者)と2029年度までに現状の5倍の販売増を見込むなど、市場展開を本格化している。
背景にあるのは、需要家の環境ニーズの高まり。これまで汎用タイプの多官能モノマーにおいては、さまざまな機械特性を付与できる一方、粘度が高く溶剤や低粘度モノマーによる希釈が避けられない課題があった。
これに対し新開発の「同MF-001」は、独自合成技術「アルキレンオキサイド付加技術」により無溶剤、低粘度化を実現。更に親水性から疎水性のバランス及び多様な物性コントロールを可能にし、フィラーの分散性、相溶性の向上に寄与する。環境面と機能物性を両立した技術として期待を集めている。
そこで同社としては、「ハードコートに限らず、多様なUV硬化材料に適応できる」と環境対応型UV硬化型材料として幅広い用途に提案する方針。既にサンプルワークを始めており、得意のカスタマイズ対応力で実用化に弾みをつけたい考え。
この他、ディスプレイ向けには、引き続き高屈折率微粒子分散体を展開。「車載向け、モバイル向けともに高精細、高画質の要求が寄せられている」とコメント。またイオン液体分野では、帯電防止剤を展開。PFAS代替として需要を伸ばしている。