同社のルーツでもある「カシュー塗料」。カシューナッツの殻から抽出した植物油をベースに世界で初めて塗料化に成功、70有余年の歴史を持つ。天然由来のバイオ素材であり、かつ非可食原料からつくられたカシュー塗料は、「環境との共生と持続可能な社会を目指す今の時代にこそ、再び大きな意味を持つ」(同社・戸次強社長)とし、カシュー塗料の進化に向けた研究開発を進めている。

それを担っているのが、現中期経営計画の開始に合わせて発足した「基礎研究チーム」だ。目指しているのは、「使いやすくて、面白い機能を持ったカシュー塗料の開発」(技術開発本部・谷勇二本部長)。

漆のような高級な仕上がり感を持ちながら、家具や仏具、漆器などに限られている用途を、「もっと幅広い分野でご利用いただけるよう、まずは"使いやすさ"に焦点を当てて開発を進めている」(同)と説明。「従来の溶剤型から水系への移行、酸化重合から新たな硬化システムへの転換といった点で可能性が見えてきた。環境面や作業性、ライン適性など"使いやすいカシュー塗料"に仕立て、自動車や家電など大きな市場で使っていただけるよう開発を進めていきたい」と力が入る。

一方、需要家から寄せられる短期的なテーマとしては、「同じ機能、性能を保ちながらより低温短時間で仕上がる塗料など、環境負荷低減に向けた要望が多い」とし対応力を高める。カシュー塗料の進化も含め、環境負荷低減を追い風に独自のポジションを築く。