フィルム用ハードコートや3次元加飾フィルム用コートなど、配合設計技術を強みに機能性塗料の開発に注力する日本化工塗料。同社が長年培ってきた紙用コーティング剤がここにきて再度注目を集めている。

その背景に欧州を中心に進むPFAS(有機フッ素化合物)規制の動きがある。現在、ハンバーガーやフライドポテトなどの食品包装に使用される耐油紙には、耐油性と通気性に優れたフッ素系材料が主に用いられている。日本国内では現時点で明確な規制はないものの、「ここにきて国内の需要家からもPFASフリーを求める声が本格化してきた」(担当者)と市場の変化を指摘する。

従来、同社が手がけてきた紙用コーティング剤は、原紙に耐油性や耐水性を付与する"オフライン方式"での塗布が主流だった。一方、通気性が求められる耐油紙では、紙の製造工程と連動した"インライン方式"での機能付与が必要となる。

インライン製造方式は、同社にとって材料組成やプロセスが大きく異なる未経験の領域だったが、「過去に蓄積した要素技術を応用することで、フッ素フリーの耐油コーティング剤の開発に成功した」と説明。現在ラボテストをクリアし、量産設備との適合性確認など、本格採用に向けた準備を進めている。

製品ラインアップは、耐油性を基本に耐水性、接着性、通気性の3タイプを展開。通気性タイプについては、顧客の設備に対応するため塗工タイプと含浸タイプの2種類を揃えた。