関西ペイントは化学プラントなどに適する配管腐食対策用耐熱塗料「サモスター配管用」及び素地調整費用削減に貢献する水性防食塗料「ルビゴール」を開発した。モニター販売を経て来年本格販売を開始する。

CUI対策塗料、グローバル展開
サモスター配管用

「サモスター配管用」は石油精製や化学プラントに用いられる配管の防錆に使用する耐熱塗料。

断熱効果を目的とした保温材で覆われた工業用配管は内部を通るガスや液体から生じる温度変化や水分の影響を受け、外部に晒された配管より過酷な腐食環境にある。

更に配管が保温材で覆われていることで腐食状態が目視できないため腐食対策が遅れ漏洩事故の要因にもなる。

このような独特な腐食構造を持つ配管の腐食対策に向け最適な材質を用いた塗料設計を行った結果、同品は250μm塗装することで、-185℃から650℃までの幅広い温度領域で優れた防食性を発揮する。

保温材の下に水が侵入することにより発生する配管外面の腐食はCUI(Corrosion Under Insulation)と呼ばれ、同社によると海外ではCUI対策として対策塗料の採用実績が多く、プロジェクトごとにコーティング材の指定があり、プラント新設時から塗装で未然に防ぐことが一般的となっている。

一方、日本ではCUI検査技術の開発が盛んに行われているものの、塗装によって対策する文化がなくコーティング材の評価に関する報告は少ないのが現状となっている。

国内外のこうした状況から、「海外市場向け展開の品揃えがきっかけ」(同社)として海外のプラントをメインターゲットとし、国内工場または海外のグループ会社から材料供給していく方針。同時に国内においても「(施主への)ヒアリングでも塗装によるCUI対策への関心は高い。保全の観点から関西ペイントとして訴求していきたい」考え。

製品概要は汎用タイプのフェノールエポキシ樹脂系「サモスター配管用E」(配管温度が100℃~200℃の設備に耐用)4万7,088円(税別・18kg)と特殊シリコーン樹脂系「サモスター配管用S」(配管温度が-185℃~650℃の設備に耐用)8万8,326円(税別・18kg)。

7月25日からモニター販売し、来年4月から本格販売を予定する。初年度の売上目標は2,000万円。

業界初、腐食電流抑制による防食
ルビゴール

水性の錆止め塗料「ルビゴール」はプラントなどの鋼構造物の塗り替え向けに錆面への塗装を可能とした。

従来、重防食塗装は塗装前に錆や脆くなった塗膜を完全に除去し、塗装に適した素地調整を行った面に塗装していたが、素地調整には多大な工数と費用が伴うことが課題だった。

そこで同社は業界で初めて腐食電流を抑制することで錆が残存した面に塗装しても従来の塗料と同等の防食性を実現する塗料を開発した。

従来の素地調整を軽減できる錆面用塗料は赤錆を黒錆に転換するタイプや塩分・鉄イオンを無害化するタイプ、固化して水分や塩分の侵入を防ぐ環境遮断タイプがあるが、同社は錆面に起こっている腐食電流を塗料の配合面で抑制するという全く異なるメカニズムによる。

メカニズムは①塗料に配合した超微粒浸透性防錆成分が錆層に浸透して錆層の電流を流す力を弱める②溶出不動態皮膜形成型防錆顔料が錆層表面に配向して薄膜部や欠損部への防食効果を高める③超高分子エポキシ樹脂と硬化剤によって強靭な塗膜を作り塩分などの侵入を妨げ、特殊官能基Xが錆層に浸透して錆層内の電流を流れにくくする。

錆の厚みは100μmまで対応可能。それ以上の場合はワイヤーブラシなどで除錆する。環境に配慮した水性塗料で特定化学物質予防規則等に該当せず、有害な鉛やクロムを含まない。

製品システムとして、赤錆及び旧塗膜面に下塗り1層目にルビゴール(60μm)、下塗り2層目にルビゴールG(120μm)、上塗りには水性や溶剤系などさまざまな塗料の選択が可能(標準仕様としてはユニテクト20セーフティ60μmとしている)。価格は6万9,872円(税別・16kgセット)。

7月6日からモニター販売し、来年12月から本格販売を予定している。