四国電力グループの四国総合研究所と大日本塗料、関西ペイント、神東塗料は橋梁やプラント設備など鋼構造物の長寿命化に寄与する剥離抑制型弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料「αシリーズ」を共同開発した。

塗料メーカー3社による新製品開発は業界初。8月から大日本塗料(製品名:ケルビンα2.5)が先行販売し、関西ペイント(製品名:クロゴα2.5)も準備が整い次第発売する予定。

素材が温度変化によって寸法が変化する割合を線膨張係数と言い、一般的な鋼構造物に使用される鉄は比較的線膨張係数が小さい。

一方、塗膜は線膨張係数が鉄に比べて5~6倍大きく、繰り返し行われる補修塗装によって塗膜が厚膜化した場合、環境温度の変化によって剥離するリスクが高くなるという問題があった。

四国総研は塗膜の寸法変化を小さくするため平成23年度から線膨張係数を小さくした塗料の開発に着手。その結果、線膨張係数を従来塗料の半分程度に小さくすることで、従来塗料とは異なり重ね塗りにより厚膜になるほど、むしろ剥離リスクが低減できることが分かった。

これを踏まえて平成25年度から塗料メーカー3社と共同研究を開始し、鉄道総研など外部の研究機関の協力を得ながら開発を進めてきた。

各社は「新開発したαシリーズは今後の塗料開発が線膨張係数に着目した設計に変遷する気運を高めるとともに、優れた耐久性と補修コストの大幅な抑制につながる特性を有することから、これまで以上に鋼構造物などの長寿命化に寄与していく」と期待する。