大阪ガスケミカルは8月1日、含浸タイプの木材保護塗料「キシラデコール®やすらぎ 防カビ補強下塗り剤(フォレステージ兼用)」を発売した。2025年開催予定の大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」の木部外壁塗装に採用されており、白木仕上げの高耐久仕様として普及拡大を目指す。
同品は「キシラデコールやすらぎ」及び「フォレステージやすらぎ」のような白木色の木材保護塗料の下塗りに適した製品で①カビの抑制②太陽光による木材の灰化、劣化の低減③水の浸入抑制に寄与するのが特長。上塗りとの組み合わせで長期間にわたり美観を維持することができる。また、やすらぎ以外の着色系塗料にも防カビ強化として適用を可能にした。
特に性能面で強調するのが"トリプルブロック"と称するUVA、HALS、防カビ剤による3大機能。
「UVA(紫外線吸収剤)で上塗りを透過した紫外線をブロックし、HALS(光安定剤)で劣化の要因となるラジカルを捕捉する。更に木材に浸透した防カビ剤によりカビの発生を抑える」(担当者)と複合技術で耐紫外線と防カビ性を両立した。紫外線においては、木材劣化の大敵とされる中長波長領域(300~400nm超)で優れた低透過性を示し、クリヤー仕様や従来のやすらぎ仕様と比べて顕著な性能差が得られたとして営業展開に弾みをつけている。「沖縄で行った屋外暴露試験(南面45度)からも美観を維持している」(担当者)と手応えを示す。
仕様のグレード分けが可能に
同品の投入によって期待するのが、素材感を生かしたナチュラルな風合いを特徴とする白木ニーズの取り込み。顔料を多く含む着色系塗料と比べて耐候性が劣る白木仕上げの課題に対し、下塗り剤に活路を見出した。
1工程増えることによる塗装ユーザーの反応が懸念されるが、材工単価は、従来のやすらぎ仕様(2回塗り)2,100円/㎡に対し、同品(1回)+やすらぎ(2回)は2,550円/㎡。製品価格(メーカー希望小売価格)は、14Lで5万800円、3.5Lで1万3,900円となり、やすらぎの3回塗り仕様とほぼ同水準となる。
そこで同社が訴求するのは、塗装仕様による高付加価値提案。「塗装ユーザーは、施主の耐久ニーズに応じて塗装仕様にグレードを持たせることが可能となり、施工価値の向上に貢献できると考えている」とコメント。下塗り剤を加えたオプショングレードとしての活用に期待する。
公共、商業施設を中心に建築物の木造化ブームが到来する中、塗料業界においては、木造建築物の長期美観維持に対する要求度が一層高まるとの見方を強めている。今回、木材保護塗料市場を牽引する同社が投入した専用下塗り剤が新たな付加価値の領域を広げるか。今後の動向が注目される。
HOME建築物 / インフラ専用下塗り剤開発、木材白木色の耐久性を向上