日本建築学会は5月17日、建築会館ホールで「第2回建築ドローンシンポジウム」を行った。今回はドローンを点検や調査に活用する事例が発表された。

冒頭は建築研究所の宮内博之氏が講演。建築業界での市場ニーズが高いのは人口密集地区だが、そこで使用する場合は申請を出さなければならない。加えて、プライバシーの問題や建物に衝突する可能性などさまざまな課題がある。同氏は「まずはヒューマンエラーを出さないための技術者育成が重要。建築分野でのドローン技術を習得する場が少ない」とし、技術を身につけるための環境整備の必要性を訴えた。

調査や点検の事例では名古屋工業大学の河辺伸二氏が外壁タイル張り仕上げの点検・調査に活用するドローンを紹介。機体の両端にホイールを搭載し、壁面に押し付けながら上昇・下降し、マイク内蔵のテストハンマーで調査する。作業者はヘッドフォンでリアルタイムに音を聞くことができる。「外壁タイル張り仕上げの打音検査はゴンドラや足場の設置などに費用や時間がかかる。再確認が必要な場合も同じ箇所を走行できるため現場での判断精度も向上する」とメリットを示した。

その他、ドローンと音波照射を組み合わせた非接触音響探査法や赤外線カメラを搭載したドローンを使用した調査事例などが紹介された。