国内初、新型ジャンボローラーを開発

ピーアイエーは4月1日より、レギュラー、スモールに次ぐ新たなサイズレンジとなるジャンボローラー専用フレームと専用ローラー「プロシリーズ」を国内で初めて投入する。ローラー側に軸受け部品を要する現状のスモールローラーに対し、ジャンボローラーはフレームに回転機構を持たせ、軸受け部品を不要にしたのが最大のポイント。辻信一郎社長は「ローラーの安定性が増し、カタヘリがなくなる」と説明。更に生産プロセスのスリム化を実現し、約9割を占めるとする(同社推計)スモール市場の取り込みを狙う構えだ。


4月1日、昨年から展示会出展やフィールドテストを続けてきた同社が国内で初めてジャンボローラー製品の市場投入を開始する。

ジャンボローラーは、スモールの口径14mmを若干上回る18.6mm(長さは6.5インチのみ)ながら、フレームの固定・脱着に必要な軸受けキャップを不要にしたのが最大の特長。レギュラーローラーに使われているプラスチックケージや通称"タコ"と呼ばれる12枚羽の固定バネをジャンボローラー向けに独自開発し、スモールローラー同様の使い勝手を確保しつつ、課題のガタつきやカタヘリを克服した。

開発に際し、執行役員開発担当の田中利克氏は「スモールローラーは先端1カ所のみで固定しているため、中心からずれると塗装圧の違いによるカタヘリが起きる。またシャンクとキャップの隙間量が大きいため、がたつきが生じてしまう」と説明。これに対し、新開発のジャンボローラー向けフレームは、両端に軸受けを入れたことに加え、軸受けとケージの隙間を小さくすることで、ローラーの安定性と回転性を向上。フィールドテストでは、全体に力が均一にかかるため塗膜厚が安定し、軽い塗り心地が得られるとの評価が得られたという。

その一方でジャンボローラーは、これまでの生産プロセスを大きく変える。

通常スモールローラーの製造は、生地の巻き付け工程の他、ローラー1本ごとに軸受けの3部品を射出成型した後、キャップ組み立て、ザグリ(穴あけ)、ヒーター、キャップ挿入の7工程(全13工程)を要する。それに対し、ジャンボローラーは、生地の巻き付けに関する全6工程で仕上げまでできるため、射出成型機を不要にし、省人化が図れるなど製造コストの大幅削減に寄与する。加えて「ローラーに軸受けがないため、プラスチック使用量(1本約6g)が減少し、環境にも優しい」(辻社長)と価格もスモールローラーよりも2割程度安くなるとし、環境対応と価格の両面から採用を促す。
 専用フレームは内製化し、M型、S型、LL型の3種類を開発。価格は、レギュラー向けと同等程度になる見通し。また生地毛丈は最大23mmとし、「片切り生地を廃棄する必要がなくなる」と材料の効率化にもつながる。

市場展開に配慮

同社がジャンボローラーの開発に着手したのは数年前。米国市場を定期的に調査する中で、主力ローラーメーカーがジャンボの投入を活発化させていることに着目した。

辻社長は、「アメリカではレギュラーローラーが90%、スモールローラーが10%の使用構成にあるが、4、5年前にスモールローラーを代替する形でジャンボローラーが出始め、現在、主力メーカーのWOOSTER、PURDY(SHERWIN WILLIAMSグループ)、PPGの主力3社が展開している」と説明。更にフレームケージで特許を持つWOOSTERが特許を手放したこともあり、国内においてもスモールローラーの課題を克服できるジャンボローラーの市場性は大きいと開発を決断した。

一方国内は、スモールローラー90%、レギュラーローラー5%、ミドルローラー・その他が5%の内訳(同社調査)にあり、いわばスモールローラーのメイン市場。その中で専用フレーム及び専用ローラーを必要とするジャンボローラーの投入は、買い間違いなど市場の混乱を招く可能性が懸念される。

そこで同社は、フレーム、ローラーともに吊り下げ方式の梱包を採用し、シール、カタログを含むすべてに「レギュラー、スモール、ミニスモールハンドルは使用できない」旨の注意事項の明記を徹底。「お客様に丁寧に説明していくことが重要」と慎重な構えを見せる。

◇ジャンボプロ製品:「塗り王」(毛丈5・7・13mm)、「ラム」(13・20mm)、「メロン」(13・20mm)、「プロキング」(15・23mm)、「ピナクル」(13mm)、「ソレーユ」(13mm)、「弁才天」(13・18・23mm)、「ステラデラックス」(5・13・20mm)。長さはすべて6.5インチ。



「スモールの半分をジャンボに置き換えたい」と辻社長
「スモールの半分をジャンボに置き換えたい」と辻社長
専用フレーム3種類。スイートスポットを軽く叩くと簡単に外せるという。
専用フレーム3種類。スイートスポットを軽く叩くと簡単に外せるという。

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