日本塗装工業会は、名古屋市立大学と共同で熟練職人の塗装動作をビデオ映像とCGアニメーションで学べるコンテンツを作成した。若手の塗装職人が手持ちのスマートフォンで熟練工の技能を簡単に学べるようにすることで、技能スキルアップの一助となることを目指している。コンテンツはhttp://jpca1116.main.jp/html/index.htmlで公開している。

公開したコンテンツは、同工業会技術委員会塗装作業人間工学調査研究部会(西浦建貴部会長)が2016年から名古屋市立大学と共同で研究してきた、熟練職人の塗装動作を可視化する取り組みの成果物。熟練塗装職人11名の現実の塗装動作をデジタルデータとして記録するモーションキャプチャなどのICT技術を用いて、動作を解析し可視化するコンテンツを制作した。

今回の公開では、熟練塗装工の「ローラー塗装」の動作と「刷毛塗り」の動作を視聴できる。ローラー塗装では熟練工11人のローラーの軌跡(動かし方)や速度と加速度を、モーションキャプチャを用いたCGアニメーションで可視化。身体負担が少なく効率の良い熟練職人のローラーの動かし方が学べる。画面上の任意のローラーの軌跡をタップすると、その職人のビデオ映像も視聴できる。

また刷毛の画像ではトップクラスの熟練技能工の刷毛塗り動作の塗装軌跡とビデオ映像、3DCG動画を視聴できる。この動画では、筋電図という筋の活動度合いも表示されるので、どの筋肉を使えば良いかまで学べるかなり詳細な動画教材になっている。

同工業会では今回公開したローラーや刷毛塗り以外にも吹付やコテ作業の動作についても順次揃えていく予定。

塗装だけに限らず建設業全体で熟練工の技能承継が課題になる中、国交省でもICT技術を用いた3次元映像教材の作成に乗り出している。日塗装ではそれに先駆けて独自に取り組んできた映像教材を公開、ITを活用した技能伝承、職人育成が更に進んでいきそうだ。