内閣官房の「国土強靭化を推進するための民間の取組事例集」(令和2年4月)に大日本塗料の2層分離形ふっ素樹脂粉体樹脂塗料「パウダーフロンSELA」に関する事例が掲載された。

内閣官房では、「国土強靱化の推進を実行するためには国、地方公共団体のみならず、民間事業者の主体的な取組が重要」との考えから、2015年より国土強靱化に関して先導的な取組を収集し、「国土強靱化民間の取組事例集」を公開し先導的な取り組みを紹介している。

同社の取り組みは、「高性能塗料の開発で災害時の信号機倒壊防止に貢献」という事例で掲載された。近年、インフラ設備の老朽化に伴って故障やメンテナンスにかかるコストの増加が社会的な問題となっている。その中でも信号機に使用されている塗料の耐用年数は10年程度と比較的短い。紫外線の影響により劣化した塗膜から水や塩分が浸透して金属部分の腐食につながりやすいという問題があった。金属部分が腐食した信号機は、台風や地震の際に倒壊する危険性が懸念されていた。

同社が開発したふっ素樹脂及びポリエステル樹脂のハイブリット粉体塗料「パウダーフロンSELA」は従来の塗料よりも耐久性に優れ、紫外線の影響を受けにくく、20年程度の長期耐久性が期待されている。

これまで信号機へのふっ素樹脂系粉体塗料の塗装事例はほとんどなかったことから、実験室で同製品の紫外線照射試験(促進耐候性試験)や沖縄県での3年以上の暴露試験を実施。これにより十分な耐久性の裏付けがなされたため、この実績を基に2015年より千葉県内の2カ所で同品を塗装した信号機の耐久性の評価を行っている。評価開始から4年経過した2020年1月現在、従来の塗装よりも良好な状態が確認できているという。

同社では「信号機のみならず、金属外装建材や住宅建材、ガードレールなどの道路設備など、長期耐久性が要求されるさまざまな用途へ展開し、我が国の社会インフラの長寿命化に貢献してまいります」とコメントしている。