企業や自治体と約200の壁画を制作

WALL SHARE(本社・大阪市此花区、社長・川添孝信氏)は、ビルや工場、商業施設などの壁に描く壁画(ミューラル)の企画・制作を手掛けている。2020年の創立以来、飲食店やスポーツ施設、公共施設、学校、シャッターといった多様な壁を対象に約200の作品を世に送り出してきた。


此花区でミューラルによる街づくり

現在、WALL SHAREが力を入れている取り組みの1つが、大阪市此花区で進めているプロジェクト「FUJIFILM INSTAX presents MURAL TOWN KONOHANA」。日本におけるミューラル文化の醸成及びインスタントカメラ「instax"チェキ"」のPRを目的とする富士フイルムが特別協賛している。国内外から多数のミューラルアーティストを招聘し、2025年10月現在で合計30の作品を制作している(写真)。

「此花区にある建物の持ち主に当社が直接交渉し承諾を得て、その壁にアーティストが作品を描く、ミューラルを活用した街づくりの一環です。住民の方々からは好評をいただいているとの認識です。海外では、街をミューラルで彩る文化が根付いている地域は珍しくありませんが、日本でも受け入れられる手応えを感じています」と川添氏(写真)。

創立から5年、企業や自治体からの引き合いは増加傾向にあるという。

企業が持つ建物の壁にミューラルを制作した例として、回転寿司チェーンのくら寿司の店舗では、寿司と浮世絵をテーマとするデザインを描いた。また、大阪府富田林市の市民会館に龍神伝説をモチーフとした強大なミューラルを描くといった自治体との連携実績もある。

こうした取り組みの成果について、川添氏は「クライアントからは、アートとしてのメッセージ性やインパクトを評価していただいています。完成後、作品を見るために人が集まるスポットとして話題になることも少なくありません」と話す。

また同社は、ビルや工場、倉庫などの壁面を有効利用したい物件所有者(「壁主」と呼称)と、ミューラルを用いたPR活動に関心を持つ企業の橋渡し役も担っている。「余っている土地を駐車場として貸し出すように、未活用の壁面をミューラル用に貸し出すという発想です」。壁主には、所有物件にアートが描かれること自体に価値を感じてもらうのみならず、同社から賃料が払われるケースもある。

川添氏は「当社の特徴はアーティストファーストの姿勢にあります」と力を込める。「デザインは基本的にアーティストに任せていただくスタンス。企業案件では製品やロゴの強調が求められる場合がありますが、作品性を損なわない形で調整します」。

日本の塗料は国内外で高評価

ミューラルの制作対象の壁の種類は、コンクリートやタイル、鉄やトタンなど多種多様。路面のアスファルトに描くこともある。建物の一面全体におよぶ巨大なものもあれば、店舗のシャッターに描くケースもあり、サイズも千差万別だ。

「壁に汚れが目立つ場合は高圧洗浄を行ったり、塗料がのりにくい素材であれば下塗りを行ったりします。どのような下地処理を行うかは、デザインや予算によってケースバイケースです。10年程度は作品を保持できることを想定して施工しています」と川添氏。

ミューラル制作に使う塗料は、刷毛やローラーで直接塗るタイプと、スプレータイプの2種類に大別される。案件を担当するアーティストが求める塗料の種類や色、数量を確認し、商社やメーカーに発注して用意するのも同社の役目だ。

川添氏は、使われる塗料の傾向について「直接塗るタイプは、外壁用やミューラル向けの製品を使用します。こうした塗料について、国内メーカーの製品は国内外のアーティストからその品質を高く評価されています。一方、スプレー塗料に関しては、スペインのモンタナカラーズ社のような、海外メーカーの製品に信頼を置くアーティストが多数派を占める印象です」と知見を述べる。

具体的には、海外メーカーのスプレー塗料は、色数の豊富さや発色の鮮やかさをはじめ、速乾性、塗料を吹き付ける際のガス圧の強さといった機能性が支持を得ているという。「半面、海外製品は価格が高いのが悩み。同等品質でコストメリットがある別な選択肢があれば、興味を持つアーティストは少なくないと思います」ともコメント。

川添氏は塗料の新しい可能性にも注目しており「環境に対する機能を持った塗料は、ミューラルに新しい価値を与えるかもしれません」と指摘する。実際に海外では、光触媒塗料の使用により空気中の有害物質の分解効果を謳うミューラルが制作され話題を呼んだ事例がある。「こうした取り組みは日本でも大きなインパクトがあるはずで、非常に興味がありますね」。



MURAL TOWN KONOHANAで描かれたミューラルの数々
MURAL TOWN KONOHANAで描かれたミューラルの数々
川添孝信氏
川添孝信氏

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