国際海事展「Sea Japan」が4月20日から3日間、東京ビッグサイトで開催された。4年ぶりのリアル開催となった今回は300社以上が集結。塗料・塗装関係では中国塗料、アクゾノーベルコーティング、PPGが出展した。

海運業界では脱炭素を目指し環境対応船への転換が進んでいる。従来のLNGに加え、アンモニア、水素などを使用したゼロエミッション技術も台頭している。ジャパンエンジンコーポレーションはアンモニア燃焼エンジンの開発を進めており、2025年に完成を予定している。燃焼してもCO₂が発生せず、CO₂より温暖化係数の高い亜酸化窒素(N₂O)の発生を最小限に抑えられる。その他、名村造船所などもアンモニアの大型輸送船の開発に着手するなど市場が活性化している。

燃料の代替技術が進んできているが、引き続き燃費の低減も重要な課題。船底塗料メーカーは燃料コストを最小限に抑えることに加え、海洋環境に影響が出ない塗料技術に注力する。

中国塗料は低燃費防汚塗料「SEA FLO NEO CF PREMIUM」「シープレミア3000PLUS」を紹介。新規防汚剤「selektope」を使用しており、フジツボなどの海洋生物が付着する前に離れていく作用がある。従来の防汚塗料に比べ5~8%燃費低減を実現した。「海洋環境が温暖になっていることによりフジツボなど船底に付着する生物も活発になっている。新規防汚剤の採用により、船体に影響を与える海洋生物が多い海域でも優れた効果を発揮する」(担当者)と自信を示す。また、ブースではモニタリング、解析プログラム「CMP-MAP」も出展。船体の表面粗度や、馬力解析、就航解析を行うことで船体性能を可視化。解析結果は適切な船底防汚塗料の選択や燃費性能の改善策の検討などさまざまな用途に利用できる。「塗料以外のサービスも活用し顧客の円滑な航行をサポートしていく」(担当者)と話す。

PPGはプレミアム船底塗料「SIGMASAILADVANCE NX」を出展。加水分解を促進する分子構造を採用した独自技術で防汚剤を含有せず、塗膜の研磨性を高めたことで海洋生物の付着を低減させた。

アクゾノーベルは新たなサービス「Intertrac HullCare」を紹介。船体にスピードチェッカーを付け船の速度を測定し、船底塗料の効果が発揮されているかを検証できる。また、分析結果からメンテナンス時期の検討などに生かせる。同社では船底防汚塗料「Intersleek1100」を塗装した顧客へのサービスとして提案を積極化する。「最大1%のスピードロスを保証している他、世界中に拠点があるため、世界の主要なドッグでメンテナンスができる」とメリットを訴えた。