「第7回塗料・塗装設備展(コーティングジャパン)」が10月29日から31日までの3日間、幕張メッセで開催された。高機能素材WEEKとして各素材技術が一堂に会する中、4万6,813名が来場した。コーティングジャパンには国内外から約60社が出展。日本塗料工業会の共同ブースに9社が参画した他、塗装機械・設備メーカーも多数出展した。その他、業界団体によるセミナープログラムが行われ、多数の来場者が駆け付けた。
■関西ペイント
関西ペイントは、建築用塗料、防食塗料、自動車補修用塗料の注力製品を出展し、来場者の質問に対応する姿が終始見られた。
建築用塗料では、今年9月に投入した外壁用多機能型断熱・遮熱システム「アレスダイナミックECO断熱遮熱工法」を出展。ラジカル制御技術を活用した建物の長期保護と断熱・遮熱機能の両立を特長に、住宅分野での採用拡大に注力している。
その他、防食向けは発泡性ポリエーテル樹脂耐火被覆材「耐火テクト」、自補修向けはオール水性有機則フリーシステム「RETAN WB ECO EVシステム3.0」を紹介した。
■中国塗料
主力の船舶用塗料以外の分野で高付加価値化を図る中国塗料。昨年に続き、海洋構造物、プラスチック・フィルム、住宅建材、重防食の各用途に向けた塗料製品を出展した。
海洋構造物向けにおいては、洋上風力発電設備の種類と適用範囲に応じた防食対策の必要性を訴求。気中部、飛沫帯・干満帯・没水部、ウォーターバラストタンク内面における塗料仕様を紹介した。
プラスチック・フィルム向けでは、紫外線硬化塗料及び熱硬化塗料「フォルシードシリーズ」を出展。ハードコート性を保持した上で、自己修復、赤外線カット、耐候性、防蚊性、防眩、帯電防止、触感、耐水撥油など多彩な機能付与に対応する。
■日本特殊塗料
環境対応型塗膜防水材及び塗り床材をメインに出展。塗膜防水材は環境配慮型ウレタンゴム系塗膜防水材「プルーフロンバリューDX」、塗り床材では水性硬質ウレタン系塗り床材「ユータックコンプリート難黄変BIO」を紹介した。
「プルーフロンバリューDX」は、従来品と比べ、環境性能を高めたのが特長。特化則・有機則非該当の他、シックハウス13VOC不使用、鉛・六価クロム不使用、毒物・劇物規格外、RoHS指令・ストックホルム条約該当物質非該当に対応した。
「ユータックコンプリート難黄変BIO」は紫外線による変色を抑えた難黄変タイプの塗り床材。バイオマーク認定商品として付加価値を高めている。
■イサム塗料
塗料メーカーとして唯一単独ブースで出展。恒例となった赤色の軽トラックを前面に配置し、自動車ボディに凹凸模様を付与する「ベッドライナービースト」及び木製荷台の劣化を抑止する「ウッドプロテクト」を紹介し来場者の関心を集めた。
中でも「ベッドライナービースト」はスバルが同品を採用。ドアミラーカバーやフロントグリル、カーゴステップパネルなどに凹凸意匠を付与できるオプションサービスを開始した。
工業用分野では今年発売した水性2液ウレタン塗料「ポセイドン5000」の艶消しタイプの投入を発表。水性塗料のアピールに努めた。
■久保孝ペイント
今年10月、創業100周年を機に会社ロゴを刷新した久保孝ペイント。同展では、サステナブルをテーマに業務効率、工程短縮、不良低減、高耐久性、特化則対応に寄与した製品を紹介した。
粉体塗料では、1箱から即日発送する粉体カラーカードシステムをアピール。15kg、3.6kgの少量ニーズに対応したシステムで業務効率及び廃棄物削減を提案。加えて粉体塗料の下塗りとして1液焼付型プライマー「ニッシンバインダー」、200℃×30分の焼付を可能にした「万能ポリパテECO」による工程短縮、不良削減を提案した。
一方、液体塗料では、厚膜型1液焼付型アクリル塗料「4timesレベルコート」、1液焼付型ウレタン塗料「ウレタンベイク2000h」を出展。高耐候性と艶ありから艶消しまで5段階の艶調整機能を訴求した。
■水谷ペイント
水谷ペイントは、光触媒酸化チタンを無機バインダーと反応させた「ACパウダー」を活用した「酸化チタン(光触媒)メタルコーティング(水性)」を紹介した。
工程は、基材の上に無機粒子スラリーを塗料に配合し、塗装。次に光触媒水溶液を塗布し、常温常圧で乾燥させるというもの。これにより、光触媒を有機樹脂に接触させることなく、表面に被覆することが可能。高価な光触媒酸化チタンを必要な部位だけ局在化させることができるという。
その他、昨年に続き、新水系2液型樹脂「G-70」及び菌糸侵入距離法による防カビ性試験法を紹介。フィルム、紙、布、金属表面の抗菌性、抗ウイルス性、防カビ性付与に寄与する。
■斎藤塗料
2年ぶりの出展となった斎藤塗料。塗料屋サンライズのペイントアイドルと多くの来場者の対応に努めた。
出展したのは、伸縮性とスリップ性、多素材への密着を特長とする「ウレヒーロー」と金属用高性能下塗り塗料「サイクロン極プライマー」。
「ウレヒーロー」は、タイ、ベトナムでの生産を開始するなど、アジア市場への展開が本格化。「ホビー向け、業務用と着実に広がっている」(担当者)と需要拡大を続けている。
今展では、新色となる偏光カラーを紹介した他、難密着素材とされるポリエチレンへの密着性をアピールした。
■ユニオンペイントグループ
木工塗料専門メーカーのユニオンペイントは、CO2削減をテーマに据え、外部用、内外部兼用、家具調、オイル調、フロアー用、白木調の各用途に対し水性製品をアピールした。
水性外部用では、「水性タフウッドコスメ」(浸透タイプ)、「水性タフウッドメイク」(造膜タイプ)、「水性タフウッドマニュキュア」(半造膜タイプ)と化粧品になぞらえた製品をラインアップ。従来品とのCO2削減量も明示し、環境対応への取り組みを訴求した。
■NCC
塗料ディーラーとして唯一の出展となったNCCは「NEO Easy Coater」と称するオリジナル塗装機を紹介した。
出品したのは、立体塗装機、タンブル塗装機、平面塗装機の3機種。いずれも現場の要望から同社が要素技術を組み合わせて開発した製品で、機能を簡素化し、導入のハードルを抑えたのがコンセプト。ボタンやねじなど小物部品をカゴに入れて回してスプレー塗布するタンブル塗装機においては、「従来、顧客がオーダーメイドで製作されるため、一般に見る機会はこれまでない」と担当者。部材に合わせた塗布制御を確立し、5μの極薄塗装を可能にした。
またUVインクジェットプリンタと塗装を組み合わせたデジタルリアリティ塗装「DigiRea」を披露。塗装と印刷を組み合わせた加飾技術に新たな可能性を示した。
■アンデックス
自動車補修向けを得意とする塗装ブース・設備メーカーのアンデックスは粉体塗装ブースを出展した。
同社開発の循環型粉体塗装ブースは、常にきれいな空気をブース内に供給する設計が特長。塗装ブースは開閉式とし、ブース外部からゴミ・ブツの侵入を防ぐとともに、工場内への粉体塗料の飛散を抑えた。
空気はブースの上部から下部へと流れ、集塵装置を経て冷房装置を通ってブース内に循環される。循環型なので冷えた空気を逃さず効率的に冷却できる。また、集塵装置はカートリッジフィルター式で、平均粒径2μmの粒塵に対して99.95%の補修効率を示す。
塗装ブースを無理なく空気を循環できるピット式や工場の床にピットを掘らない高床式、ピットを掘らずワーク搬入出も簡単なダウンフロー式もラインアップする。
■パーカーエンジニアリング
非接触膜厚計と定量供給装置を利用した膜厚自動調整システムを初披露した。同システムは協働ロボットを活用して粉体塗装後、焼付前に非接触膜厚計で粉の状態で膜厚を測定する。測定した膜厚データを静電粉体塗装機「Pulse Power 9000」に送ることにより、ターゲット膜厚に達するように計算し、吐出量を自動で調整する。
吐出量については、同社独自技術の粉体定量供給装置「JF ジャストフィード」によって管理されるため数値化でき管理しやすくなっている。
実演では、協働ロボット2台で塗装と膜厚測定を実施。協働ロボットに学習させることで、塗装現場における省人化や省力化の推進を訴求した。
■栗田工業
粉体塗装ブースをはじめ水洗ブースや局所排気装置、焼付熱風乾燥炉の各種塗装設備を出展した。
粉体塗装ブースは粉体塗装用に特別設計しており、集塵された粉体は筒状のカートリッジフィルターに吸着され、パルス式の除去装置により下部受け皿に落とされ回収も可能となっている。工場内排気も可能なため、工場内の空調環境を妨げることはなく、パテ粉などの集塵にも使用できる。
水洗ブース「水塵」はブース材質に高耐食溶融亜鉛めっき鋼板のZAM材を使用し、腐食に強いのが特長。ブースサイドのエミリネーター部にはのぞき窓を取り付け、内部の塗料ミストの清掃時期をパネルを外さずに確認できる。
アコーディオンフード付局所排気装置は、労安法の局所排気装置基準に適合製品として提案する。
■大気社
大気社は、春の関西コーティングジャパンに続き、外装向けフィルム加飾システムを大々的に展示した。
ドライ加飾ラインは従来のウェット塗装と比較して、省スペース化と設備ランニングコストの大幅な削減が可能として提案。従来のウェット塗装に必要なブース、空調、乾燥炉、廃棄処理設備、排水設備、塗料循環設備など大きな設備が不要となるため、コスト・スペース低減、更にはCO2削減にも大きな効果が期待できる。
ブースではフィルム加飾した自動車バンパーなどを展示。従来の塗装とは異なるフィルムの特性を生かした表現を提案した。真空圧空成型によりフィルムを貼り付け加飾する手法で、バンパーのような大きな立体形状の外装部品にフィルムを貼り付けることができる。樹脂や鋼板の製品にも対応できる連続ラインを展開する。
この他、IEC、トリニティ、安川電機、東洋アルミなどが出展。環境ニーズに対応した省エネ、生産性向上技術が多く見られた。