ノードソン(本社・東京都品川区勝島、代表取締役社長・内田勝氏)は本社1階にイノベーションラボを開設、事業分野の枠を越えてテクノロジーのラインアップを一同に集めている。内田社長は「我々が持っている実績、知財を開放していきたい。今後は自前のクローズドイノベーションではなく、弊社のオープンした技術をどんどん使っていただき、新しい技術を創出する仲人の役割になる」と述べ、オープンイノベーションを本格化させる
イノベーションラボは6月7日に開催した50周年記念式典でグランドオープンを発表した。コンセプトはオープンイノベーションで「お客様とともにアイデアを創り出す、『共創』の場とする」(同社)。オープンイノベーションをコンセプトとしたラボは、グローバルに拠点を持つノードソンの中でも日本が初となる。多様な塗布技術を知ってもらう東京の本社1階に位置するイノベーションラボの広さは約120㎡で、5つの製品展示コーナーを設置。入口最初の製品展示では、粉体・液体塗装、食材塗布、常温材料塗布の最新製品や技術紹介、動画を用いた塗布イメージ映像などを見ることができる。
その他の展示としては、押出成形や射出成形に関する技術、包装及び製品組み立て用ホットメルト接着剤塗布、各種液剤精密塗布及び1液・2液用容器など、多様な材料の塗布技術による導入事例などをプレゼンテーション方式で機器や製品サンプルを見せながら紹介する。
イノベーションラボは完全予約制であり、同社では滞在時間を約2時間に設定している。企業紹介に始まり、テクノロジー紹介、ディスカッションへと続き、簡単な総括後にはカクテルパーティーも行う。
対象となるのはユーザー、機械メーカー、材料メーカー、大学・研究機関、代理店などのマネージメントレベルや新規ビジネス・製品開発担当者など。
まずは同社の製品や技術を知ってもらうと同時にステークホルダーの課題を抽出し解決アイデアにつなげるなど課題解決支援に活用する。同社との提携となれば、ラボ施設に移行して製品化という流れとなる。
ただし、その流れの中で必ずしも製品開発に帰結しなくても構わないという。内田社長は「弊社に集まってもらい、弊社がファシリテーターになって新しい技術のディスカッションをしたい。その上で『今回の案件ではディスペンサーが必要ない』となっても一向に構わない。要するに日本の産業をスピーディーにグローバルな技術に乗せていきたい。その仲介ができればいい」との意向。
グローバルで勝つために
グローバル市場で勝つにはスピーディーな技術開発が必要であり、かつ自社のみではなく共同でのイノベーションが重要との見方。そのためには同社の精密塗布技術と国内50年の実績をオープンにする。
内田社長は「自分たちが考えている以上に世の中は、スピーディーに技術発展している。その上では垣根を越えた形でディスカッションして、共同で新しい技術を開発しない限り世界では勝てない。この50年の中で直接ご使用されるエンドユーザーは1万社を超える。それに際し応用技術はそれ以上のものを保有する形となった。弊社の知的財産が増えたとなりますが、昨今のグローバリゼーションあるいはデジタル化を考えたとき、このグローバルの知識と直接お客様と取引したプラクティスを日本の産業界、材料メーカー、研究機関に一旦オープンにしようと考えました。我々が持っている実績、知財を開放していきたい」とオープンイノベーションによる機会創出を目指していく。