高意匠仕上材を次期成長の柱に

メーコー(営業本部・東京都渋谷区、社長・萩本文雄氏)は、高意匠仕上材メーカーとしての存在感を高める。スケルトン建築や内装の乾式工法への移行などで主力のパテの需要が縮小することを見越し、高意匠仕上材メーカーとしての展開を新たな成長の方向に据える。デザイン性に秀でた材料をオープンで市場に提供し、塗装業者などユーザーの施工の付加価値化に貢献する。社内に工事部も構え、高意匠仕上施工のバックアップ体制も強化する。


建築塗装業界ではパテメーカーとし高いシェアを持つメーコーだが、その一方で高意匠性塗材メーカーとしての顔も持つ。

同社は30年ほど前に、アンティコスタッコ(磨き仕上げ)の本場・イタリアから技術導入し高意匠性塗材のライセンス生産を開始。ただ、当時は需要がまだ限定的であったことから販売よりも実績作りに軸足を置き、自社の責任施工を中心に展開。高級ホテルやレストラン、大手化粧品メーカーのブランドショップなど商業建築において実績を重ねてきた。

近年、より高度な意匠を求める建築デザインのトレンドの影響で、それら高意匠塗材の採用物件が増加。設計やデザイナー、ゼネコンなどからの問い合わせや引き合いも活発で、「意匠性塗材への市場のニーズがかつてないほど高まっている」(取締役工事部部長・森本光次氏)とし、改めて材料販売を強化することにしたもの。イタリアから技術導入してライセンス生産している高意匠塗材を「Art Series」として体系化し、本格的に販売に乗り出すことになった。

Art Seriesの代表的な製品が大理石調塗材の「MARMOTTO(マーモット)」だ。コテで主材を塗りつけて特殊な刷毛でパターン付けし、ヘラで磨きをかけていくと魅惑的な輝き(ツヤ)を放つ存在感抜群の壁になる。フラミンゴ、ローズ・ピンク、ヴェニット、ブロンドなど建築デザインのイマジネーションを膨らませる12の色調を用意。商業建築の内装での採用が増えている他、最近ではハイエンドな住宅にも活躍の場を広げている。

シリーズではこの他にも多彩な仕上材をラインアップ。

クラシックスタッコの「MARIO(マリオ)」は、中世の建築物を思わせる古壁調のテイストが持ち味の仕上塗材。シックで格調高い空間を演出する。

クリスタルウエイブの「GEMMA(ジェンマ)」は、仕上がりの光沢を強調した内装用特殊樹脂塗材。クリスタル感とさまざまな種類のパールの輝きでゴージャスなインテリアを形づくる。

また、「LIBERTA(リベルタ)」及び「LIBERTA SAND(リベルタサンド)」は、自在なテクスチャーで壁を演出するデザインスタッコ。色とパターン(テクスチャー)の多彩な組み合わせで独創的な空間づくりを実現、内外装で使用でき建物のデザイン性を高める。これらArt Seriesでは標準色以外にも調色対応を行い、デザイン性へのニーズに応えていく。

オープン販売で独自路線

Art Seriesの販売において特徴的なのは、塗料販売店など既存の商流を通じてオープンで材料を供給していく点だ。従来、こうした特殊仕上材料はメーカーやサプライヤーの責任施工、もしくはライセンス施工店制度をとりクローズドで展開するケースが多かった。「当社としては、塗装店など多くのユーザーさんが意匠性塗材を扱いやすい環境にすることで施工の付加価値化に貢献し、それと連動して販売を伸ばしていく方向」(同)と他社とは異なったスタンスをとる。

このため施工指導などのフォロー体制も充実化させ、ユーザーが高意匠塗材の案件にチャレンジしやすい環境を整える。場合によっては自社の工事部でバックアップする体制をとり、施工面への不安を解消。また、色やテクスチャーなどデザイナーやクライアントからのリクエストにも柔軟に対応、材料をアレンジしてユーザーの受注支援につなげる。

更に、意匠性の高い仕上げほど下地づくりの重要性が問われるとし、「現場ごとにどのパテが最適か、どの工法なら割れないかなどパテメーカーとしての知見、経験、ノウハウを惜しみなくご提供できるのが当社ならではの強み。下地作りの部分から施工のアドバイス、フォローを行えることで完成度の高い仕上がり品質をお客様(ユーザー)と協創できる」とし、パテメーカーとしての立場を差別化のポイントにも据えたい意向だ。

高意匠性塗材へのニーズの高まりを背景に、オープン販売と施工のフォロー体制の充実化で『Art Series』を拡販、新たな成長へ向けて舵を切る。



マーモットの主材をコテで塗り付け
マーモットの主材をコテで塗り付け
特殊な刷毛でパターン付け
特殊な刷毛でパターン付け

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