塗装用下地壁紙「ルナファーザー」の需要が広がっている。コロナ禍を追い風に住宅での採用が増えたことに加え、公共施設、店舗などへと需要が拡大、販売が増えている。建物の内装仕上げにおいて「ルナファーザー+塗装」がトレンドのひとつになりそうだ。

「ルナファーザー」は、環境先進国ドイツで生まれた内装仕上げに用いる塗装用下地壁紙。ドイツ・エアフルト社で製造されており、ヨーロッパでは既に100年以上の歴史がある。天然パルプと再生紙をベースにしたこの壁紙を下地に張り、その上に塗装をして仕上げるのがヨーロッパの内装ではポピュラーだ。国内では日本ルナファーザー(東京都港区)が販売窓口となり、30年以上の市場実績がある。

そのルナファーザーの需要が拡大している。ひとつはコロナ禍における住宅事情が追い風になっている点。

コロナ禍で在宅時間が増えたことで室内の環境を見直す機運が高まり、カビの生えやすいビニールクロスから通気性の高いルナファーザーに張り替えて塗装で仕上げるリフォーム需要が増えた。「賃貸マンションのオーナーさんが原状回復に導入したり、テレワークによる郊外への住み替えでもその仕様でリノベーションする物件が増えました」(日本ルナファーザー・市瀬善昭営業部長)と背景を説明。

更に、防火の観点からガラス繊維クロスが多用されていた公共施設でも、それに代わってルナファーザーが使われる物件が増えてきた。オリンピックの選手村や日本武道館などシンボリックな物件での採用が他へも波及、公共施設での需要が広がっている。

また、内装を塗装仕上げにしている外資系のカフェチェーンでもクラックへの対応など塗装面の強度を高める目的で下地にルナファーザーを張るスペックが標準化、全国のチェーン店に広がっている。

「ルナファーザーは天然のパルプ、再生紙、木材チップなど循環資源を原料にしているので、SDGsの観点からも好感度が高い」(同)とし、販売拡大に期待を寄せる。