花粉対策機能を持つ室内用塗料を開発
ハイドロ銀チタンを配合

関西ペイントは、花粉などに含まれるアレルギー疾患の原因となる物質を分解する室内用水性塗料の開発に成功した。「ハイドロフレッシュ」の商品名で4月から市場展開に入る。1回塗りの簡便な施工で室内の壁に花粉対策機能を付与できるため、塗料による新たな内装需要の創出に期待が高まる。


同社はこれまで、暮らしに身近なところで塗料の効果を実感できる"快適生活提案塗料シリーズ"として、内装塗料の「アレスシックイ」や「アレスムシヨケクリーン」を展開。いずれも消臭や抗菌、抗ウイルス、虫除けなど室内空間の快適性を向上させるもので、その第3弾として「ハイドロフレッシュ」を発売する。

最大の特長は、花粉やハウスダストなどに含まれ、アレルギーを誘発するタンパク質(アレル物質)を分解する効果を発現すること。同品の塗膜にアレル物質が接触するとその働きが抑制され、ほぼ100%アレル物質が低減することが第三者検査機関で実証。1回の施工で約10年間効果が持続するという。

その効果を引き出すのが医薬品メーカーのDR.C医薬が製造販売する「ハイドロ銀チタン」という触媒顔料。光触媒機能を持つアナターゼ型酸化チタンに触媒効果を増幅させる銀を担持、アレル物質吸着効果のあるハイドロキシアパタイトで構成されており、花粉やハウスダストなどのタンパク質、汗や臭いなどの不衛生タンパク質を分解する触媒物質として機能する。マスクやタオル、各種アパレルなど同チタンを利用した多くの商品がヒットしている中、関西ペイントとDR.C医薬のコラボレーションにより初めて塗料化された。

関西ペイント販売が4月1日に発売する「ハイドロフレッシュ」は、アクリルエマルションをベースにハイドロ銀チタンを配合・分散させたクリヤータイプの水性内装用塗料。刷毛やローラーで壁紙の上に1回塗りするだけで簡単にアレル物質低減機能を付与できる。わずかに白色濁りがあるものの、一般的な淡彩色の壁紙であれば風合いを損なわず問題ないとしている。

開発に当たっては、ハイドロ銀チタンの効能をいかに発現させるかに工夫を凝らした。アレル物質に作用させるためには塗膜の表層にハイドロ銀チタンが配向(頭だし)する必要があり、着色顔料や体質顔料に埋もれてしまうエナメル(着色)塗料は避け、クリヤータイプで商品化。2~3μmの極薄膜で成膜する塗料設計のためハイドロ銀チタンが塗膜の表層に頭出しして花粉などのアレル物質と接触、その働きを阻止する。

更にアクリルエマルションをベース樹脂にできたのもポイント。ハイドロ銀チタンのように光触媒作用を持つ顔料を配合する場合、樹脂そのものの分解を抑制するために無機系バインダーを用いるのが一般的。それに対して同社は樹脂を内製化しているアドバンテージにより、ハイドロ銀チタンの光触媒反応の影響を抑えるアクリルエマルション樹脂のスペック化に成功。施工の難しい無機系光触媒塗料に対し、通常の水性塗料感覚、しかも1コートだけの簡便な施工性を実現したことで市場性が高まった。

同品の施工は、短毛ローラーで「ビニールクロスの上にローラーを軽く転がしてコーティングしていく感じ」と簡便。クリヤーのため色のはみ出しに神経質になることもなく、養生も軽微で済む。「大仰な手順を要せず、在宅の居住空間でもストレスなく施工できる。このため、外装中心の塗装業の付加メニューとして取り込みたいと、800社を超える施工店の集まり『リフォームサミット』のメンバーからも既に声が挙がっている」と手応えをつかんでいる。

「ハイドロフレッシュ」の市場性に関して同社では、「花粉対策の壁紙やフローリング材が既に販売されており、快適な居住環境向けの建材として市場化されている。今回、塗料として上市できたことで壁紙や床材のように限定的ではなく、もっと広範な部位・部材に適用できるのが大きなアドバンテージ。施工が簡便で手離れが良いので、在宅住宅の花粉対策の他、賃貸住宅の退去後の原状回復に組み込み、入居率向上の切り口で提案しても面白い」とイメージを膨らませている。

関西ペイント販売の中野佳成本部長は「建築用塗料の需要が減少局面を迎える中で、保護と美装といった従来の価値の他に、成長のためのもう1つの価値軸が必要。当社はそれを住空間の快適性や人の健康に寄与する塗料とフォーカスし、『快適生活提案塗料シリーズ』として拡充してきた。暮らしの中の身近なところで塗料の価値を実感してもらうことが塗料のステイタスや付加価値の向上をもたらし、引いては職人さんの仕事の領域拡大や価値向上にもつながる」とスタンスを説明。成熟市場における成長へのチャレンジを続ける。

なお、「ハイドロフレッシュ」は容量4kg(ポリ容器入り)で希望小売価格は1万2,000円/缶。1缶当たり80~100㎡の施工が可能で、マンションや戸建てなどの住宅、教育施設や病院などの建物内部壁面に適用。特に、花粉などが入り込みやすい玄関や開口部の大きいリビングの壁、寝室、子供部屋、人が集まる共用スペースの壁などへの施工を推奨する。
 初年度の販売1億円を目標に4月1日に発売する。



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