多摩美術大学・八王子キャンパス内にある素材研究室「CMTEL(シムテル)」は学生向けに粉体塗装のワークショップを2020年から定期開催している。今年で4年目を迎え、これまで参加した学生は130名を超える。工業製品向けとは異なる自由な発想で粉体塗装を楽しむ空間を醸成する。
CMTELとはColor(色彩)、Material(材料)、Trend(傾向)をExperiment(実験)してExploration(調査)することによって、学生自身が制作物の材料や考え方、アイデアの糸口を見つけるためのLaboratory(研究室)。素材の資料館の役目だけでなく、さまざまな学科の学生から相談を受けて、学生がやりたいことをサポートしている。
CMTELが粉体塗装のワークショップを始めるきっかけとなったのは、小ロット対応粉体塗料「コナール」やペットボトル入り粉体塗料「チョコナ」を製造販売する三王(本社:東京都台東区、代表取締役社長・高橋大氏)との関わりがきっかけ。
チャクスウェジ・ワスワット(志保)さんがCMTELに入ったばかりの2020年はコロナ禍でCMTELを利用する学生が減っていた。そんなときにかつて卒業制作やコンテスト作品で粉体塗装したい学生をサポートしていた三王と知り合い、粉体塗装のワークショップを決めた。
多摩美術大学・八王子キャンパス内にある素材研究室「CMTEL(シムテル)」は学生向けに粉体塗装のワークショップを2020年から定期開催している。今年で4年目を迎え、これまで参加した学生は130名を超える。工業製品向けとは異なる自由な発想で粉体塗装を楽しむ空間を醸成する。
CMTELとはColor(色彩)、Material(材料)、Trend(傾向)をExperiment(実験)してExploration(調査)することによって、学生自身が制作物の材料や考え方、アイデアの糸口を見つけるためのLaboratory(研究室)。素材の資料館の役目だけでなく、さまざまな学科の学生から相談を受けて、学生がやりたいことをサポートしている。
CMTELが粉体塗装のワークショップを始めるきっかけとなったのは、小ロット対応粉体塗料「コナール」やペットボトル入り粉体塗料「チョコナ」を製造販売する三王(本社:東京都台東区、代表取締役社長・高橋大氏)との関わりがきっかけ。
チャクスウェジ・ワスワット(志保)さんがCMTELに入ったばかりの2020年はコロナ禍でCMTELを利用する学生が減っていた。そんなときにかつて卒業制作やコンテスト作品で粉体塗装したい学生をサポートしていた三王と知り合い、粉体塗装のワークショップを決めた。
「環境に優しいということに個人的に興味が湧きました。金属の塗装といえば溶剤塗装しか知らなかったので、粉体塗装は触ったことも聞いたこともなかった。粉体塗装は臭いもないし環境にもやさしいので、すごく良い塗装技術だと思い、学生にもぜひ知ってほしいと考えてワークショップを開催しました」(志保さん)。
最初の2020年は10月に3日間で計6回開催し、35名もの学生が参加した。粉体塗装を全く知らない学生ばかりで、100円均一で小物を用意しそれに粉体塗装を施した。CMTELの部屋で、段ボールで自製した塗装ブースと小型の乾燥炉を用いて行った。
伊藤綾香さんは「粉体塗装は臭いもほとんどしないし、焼き付けたら完了するのがいい。普通の塗装は乾燥するまで触れないですし時間がかかりますが、粉体塗装はその日に持ち帰れるのでワークショップ向き」と述べる。
今年で4回目を迎えた粉体塗装ワークショップは、1年目に6回、2年目に4回、3年目に6回、4年目に4回で合計20回を重ねる。1回につき最大10名を受け入れており、これまで参加した学生は130名を超えている。中には複数回参加する学生もいる。
三王が技術サポート
ワークショップでは、三王の粉体塗料「チョコナ」と手軽に粉体塗料を塗布できる「Conallshot(コナールショット)」を使用。粉体塗料はワークショップの際に購入しており、今は60~70色が揃っている。
塗料選びで学生から人気なのがキャンディカラー(カラークリアー)だ。キャンディカラーの粉体塗装は仕上げの再現性や安定性などで管理技術が求められる難しい色と言える。
しかし、伊藤さんは「キャンディは一番人気です。たとえ塗装して色ムラがあってもそれも魅力になります。工業製品の基準を満たさなくても大丈夫なので」と笑う。
志保さんや伊藤さんをはじめワークショップではチャレンジャーが多く、実験的な試みが多い。工業製品では考えられないことでも、固定観念にとらわれず自由に粉体塗装を楽しむ。これまでも石膏やセメント、ガラスにも粉体塗装を施した。当然静電気は使用できず、粉体塗料をそのまま乗せた状態で焼き付ける。それでもしっかりと仕上がっているから驚きだ。
ワークショップを通じて粉体塗装を経験してきた志保さんは「マット調、艶、模様どれも同じ塗装方法で出せるのはすごい。知らない人は模様粉体なんてテクニックが必要だと思いますが、通常の塗装で表現できる」と粉体塗装の魅力を語る。
伊藤さんは「(膜厚に)厚みがあり高級感がある。丈夫なのも粉体塗装の良さで、塗装した後に曲げても大丈夫なので可能性が広がる。例えば、ワークショップでは小物製品だけでなく、アルミホイルを素材に使っています。アルミホイルは造形の自由度が高いので発想が広がります。そのとき、アルミホイルだけだと形が心もとないですが、粉体塗装することでカチっとなって形を維持できます」と後加工性に優れるとの見方を示す。
ワークショップには、グラフィックなど立体のものを作らない学生も参加するとのこと。多摩美学生の創作意欲に粉体塗装ワークショップが後押ししている。