日本塗料工業会は、「2023年度需要実績見込」及び「2024年度需要予測」を公表した。その結果、需要実績見込みは、対前年比98.0%の125万5,000トン、需要予測は100.0%の125万5,000トンと前年並みで推移するとの見通しを示した。

「2023年度需要実績見込」は、半導体不足などの解消に伴い自動車の生産台数が回復。道路車両・新車111.6%に加え、海運業界の活況を受けた船舶が103.1%と昨年予想時から上振れした一方、建物は98.0%、建築資材は88.7%と減少した。特に建物においては、昨年時点で105.1%と増加を見込んでいただけに想定外の結果。要因について「資材価格の高騰が大きく影響した上、戸建て関連は消費マインドの冷え込みもある」(メーカーコメント)との見方を示した。

昨年と比べて伸長した需要分野は、道路車両・新車、船舶、電気機械、構造物の4分野のみ。その他はすべて前年割れ。総括として、「コロナ禍の需要減から回復は見受けられるものの、全体的には消費低迷により出荷数量は減少傾向であった」とまとめた。

一方、「2024年度需要予測」は、2023年度に反して、道路車両・新車、船舶は前年割れの予想。新車においては、生産台数増の一段落感に加え、検査不正問題の影響を受ける他、船舶は海外造船所との競争激化、海運市場の落ち着きから減少を見込む。

全体的には、建物が104.1%と伸長が見込まれる以外は、前年並みもしくは微減を予想。「原材料や諸物価高騰、労働力不足など、先行きの不透明感は一掃されない」と弱含みの状況が続くとの見方を示した。