平成28年度(4月~3月)の塗料出荷は前年度比0.8%増の177万1,163トン、金額ベースで0.9%増の6,749億9,600万円であった。販売数量は微増であったが、汎用関連や船底塗料の低迷で実質的に横ばい基調となった。

業界関係者は「消費増税の反動がいまだ続いている。リフォームや塗り替え需要が弱含みとなっている一方で、自動車関連や一部の工業用需要が伸びている」と分析する。塗り替え需要は消費増税の駆け込み需要の反動で出荷が減少。戸建てや集合住宅の改修・リフォーム全般の需要が悪化した。需要の先食いによる反動は1年近く続き、汎用マーケットそのものの活力が喪失。「こんな状況は過去にあまり経験したことがない」(某ディーラートップ)。

一方、自動車関連は新車用の需要が堅調で、工業用需要を伸長させた。しかし、自動車用の全体に占める割合は金額割合で20%ほどと、汎用の30%に比べ10ポイント低い。この格差は年々大きくなる傾向にある。汎用の動向がマーケットの活性度を見る尺度となっている。

汎用シフトの動き鈍い

月別出荷動向は数量ベースのピークが3月の16万3,848トン、ボトムは1月の13万2,567トンと例年に比べ変則パターン。5月の天候不順が建築用需要を押し下げた。9月から12月にかけては15万トン台に推移した。金額ベースで見るとほぼ同じ傾向で、ピークは3月の616億5,000万円、ボトムは1月の500億1,200万円であった。

平均キロ単価の推移は11月と3月が376円と最低、最高は12月の395円であった。年平均は381円。

品目別では数量ベースで伸長した品目はその他塗料が7.6%増の11万3,212トン、次いで電気絶縁が4.1%増の2万4,205トン、アクリル焼付が3.8%増の3万4,422トンと続く。メジャー品目は、エポキシ系は2.7%減、ウレタン系2.1%増、エマルションペイント1.3%増、水性樹脂1.9%増など明暗が分かれた。

前年割れ品目は船底塗料が16.1%の大幅減となり1万8,476トン、金額ベースでも20.3%減の104億7,300万円。アミノアルキドは7.3%減の6万204トン、アルキドさび止めは6.7%減の3万7,492トン、アルキドワニスは6.3%減の1万8,319トンなどの減少が目立つ。

出荷金額ベースでは15.7%増のその他塗料625億2,200万円、8.3%増のアクリル焼付277億9,000万円、4.5%増の水性樹脂651億3,900万円の伸長が目立つ。

マクロ状況として工業用から汎用へのシフトが進んでいない実態があり、需要構造を変えていく力が乏しい。低迷→横ばい基調が続いている。