売上高9,982億円、営業利益は微増

日本ペイントホールディングスの2021年12月期連結業績は、売上収益9,982億円(29.2%増)、営業利益876億円(0.0%)となり、売上、利益とも過去最高を更新した。2月14日の会見で若月雄一郎共同社長は、既存事業とM&Aを並行した成長施策に一定の評価を示した上で「まだまだ改善の余地を残している」と指摘。世界的な原材料高に見舞われる中で、引き続き収益性向上に強い意欲を示した。


日本ペイントHDの2021年12月期連結業績(IFRS)は、売上収益9,982億7,600万円(29.2%増)、営業利益876億1,500万円(0.0%)、税引前利益864億6,700万円(3.3%減)、当期利益681億1,200万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は53.8%増の675億6,900万円となった。

会見に出席した若月雄一郎共同社長は、「売上成長率29.2%増のうちインドネシア事業の新規連結効果、為替の影響を除いても16.6%増となり、大幅な成長が達成できた」と既存事業の成長とM&Aの両立に手応えを示した一方、前年並みに着地した利益については、「アジア合弁の100%化に伴う印紙税などの一時費用50億円に加え、中国で約32億円の引当金を積んだ」など一過性費用による影響を指摘した。

全体としては、原材料価格の高騰を受けた中での結果に一定の評価を示しつつ「まだまだ改善の余地を残している」と述べ、市場シェアの拡大と製品値上げに意欲を見せた。

地域別の売上収益及び営業利益(短信ベース)は、△日本:売上収益1,646億円(1.6%増)、営業利益103億円(36.2%減)△アジア(NIPSEA中国):売上収益3,791億円(41.4%増)、営業利益359億円(18.3%減)△アジア(NIPSEA中国以外):売上収益1,511億円(74.9%増)、営業利益250億円(119.2%増)△インドネシア(アジア内):売上収益395億円、営業利益118億円△オセアニア:売上収益1,762億円(18.8%増)、営業利益190億円(23.7%増)△米州:売上収益764億円(9.0%増)、営業利益36億円(20.1%減)△その他:売上収益508億円(35.0%増)、営業利益71億円(31.5%増)。

一方、日本の分野別売上は、自動車用353億円(1.8%増)、汎用454億円(3.9%増)、工業用381億円(8.0%増)、ファインケミカル84億円(6.4%増)、その他374億円(7.4%減)となり、自動車用をはじめとする販売価格の上昇が増収に寄与した。

全売上の約4割を占める中国事業については、「不動産市況の悪化が取りざたされているが、建築用においては非常に力強い市場成長と製品値上げで大きな成長が得られた」とし、DIY(小売)部門で35%増、プロジェクト(建設関連)部門で29%増の増収。2019年に買収したオートラリア・DULUX GROUPをはじめとするM&Aの成果についても「DULUX、トルコ・Betek Boya双方とも原材料価格の高騰を受けたものの、通期で増収増益を達成している」と買収後の好調ぶりを強調した。

営業利益面では、日本、中国、米州が2ケタ減に見舞われるなど全地域が原材料高騰の影響を受けた一方、売上面では、汎用を主体に堅調な成長を示す海外事業に対し、新型コロナの長期化で市況回復が遅れる日本との差がより鮮明になった。

上位3社に追随、成長率上回る

続いて2022年12月期の通期業績は、売上収益1兆2,000億円(20.2%増)、営業利益1,150億円(31.3%増)、税引前利益1,130億円(30.7%増)、親会社帰属当期利益810億円(19.9%増)と予想。売上、営業利益とも過去最高を更新する見込みを示した。年間配当金は前期比2円増配し、11円を見込む。

日本事業においては、自動車用10~15%増、汎用10%前後増、工業用10~15%増と予想。部品不足解消による自動車生産の復調、高機能差別化製品の拡販、市況回復に伴うシェア拡大及び製品値上げなどを増収要因に据える。

また、年明け以降も緊迫感を強める原材料動向については、「今年上期までは引き続き上昇傾向を予想している。そのため利益率においては、第1四半期は昨年の第4四半期に近い水準で推移し、第2四半期以降は、値上げの浸透などにより回復基調を見込んでいる」と説明。更に「第1四半期は、原材料費率が低水準にあった前年同期と比べると増収減益になり、第2四半期以降は増収増益基調に転じるだろう」と付け加えた。

売上収益1兆2,000億円については、今年1月20日に株式取得を完了した欧州・Cromology(クロモロジー)の売上が加算される見通し。「売上としては1,000億円弱の増収効果を見ている。利益においては、無形資産の償却などの一過性要因を除き、7.5~8.5%の利益率を見込んでいるが、初年度としては約50億円の増益になる見通し」と述べ、既存事業による1,000億円強の押し上げを加えた2,000億円の増収を目指す構えだ。

一方、昨年11月に買収計画を発表したスロベニア・DP JUB、中国の自動車部品事業の100%合弁化については、今回の通期予想には含まず。既に連結化した中国自動車部品事業については当期利益に反映させる意向を示した。

同社が追随するグローバルトップ3社も2021年通期業績を発表。シャーウィン・ウィリアムズの連結売上高は8.6%増の199億4,000万ドル(約2兆2,931億円)、PPGは、21.5%増の168億200万ドル(1兆9,322億円)、アクゾノーベルは12.4%増の95億8,700万ユーロ(約1兆2,560億円)となり、日本ペイントHDが成長率で上位3社を上回った。



HOMENew Trend売上高9,982億円、営業利益は微増

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