日本ペイントホールディングスは10月20日に会見を開き、グループ傘下のオーストラリア・Duluxグループが新設したイギリス子会社を通じ、フランスの塗料メーカー・Cromology Holoding SAS(クロモロジー)社の全株式を取得すると発表した。買収金額は11億5,200万ユーロ(約1,509億7,000万円)で、株式譲渡実行日は2022年上期を予定している。
Cromologyは、フランスを主力に西欧8カ国に展開する建築塗料メーカーで、2021年度予想売上高は899億円。従業員数は3,200名、9つの生産工場を有する。
特徴としては、フランス国内を中心に「TOLLENS」(内装用塗料)、「ZOLPAN」(機能性塗料)をブランドネームとする386店舗の直営店を展開しており、建築塗料市場の国内シェアは2位に位置する14%を確保。その他、イタリア(1位)、スペイン(3位)、ポルトガル(2位)、モロッコ(3位)においても高いシェアを有し、2018年に新経営陣に移行して以降、着実な利益成長を遂げている。
欧州展開を強めるDuluxにおいても、「強固なブランド力を元に流通をコントロールできる直営店網は、プロ向け、DIY向けでオーストラリア市場をリードする当社にとってもシナジーが高い」(Dulux CEO兼取締役会長・フーリハン氏)と説明。幅広い塗料製品群に加え、Duluxがグループ内でシナジーを図るSAF(密封剤、接着剤、充填剤)の相乗効果に高い期待を示した。
一方、会見で繰り返し強調したのは、Cromologyの潜在能力の高さ。フーリハン氏は「優秀な経営陣の下、非常に才能ある会社だと評価している。グローバル4位の事業規模と強固な財務基盤を持つ日本ペイントグループとDuluxの協業によりCromologyを次の成長ステージに引き上げられると考えている」とコメント。日本ペイントHDの若月雄一郎共同社長も「EPS(1株当たり利益)については、初年度からプラス貢献が見込める」と今買収のメリットを示した。
なお、買収資金については、金融機関の借入を想定しており、新株発行を伴う資金調達は予定していない。