日本塗装技術協会は6月17日、オンラインで2022年度第1回講演会を開催した。今回は「コーティングにおけるSDGsの考え方とアクティブなアプローチを目指して」のテーマのもと、第2弾として環境対応及び対策に重点を置いた従来技術での"ヤリキリ"と革新的な技術の紹介を行った。

内容としては、塗装前処理に始まり、鋼構造物塗装、プラスチック加飾技術やフィルム加飾、更にはEB照射技術といった幅広い技術を紹介した。

その中の1つ、日本パーカライジングの兒玉貴裕氏は「塗装前処理におけるCO2削減、節水技術の最新動向」と題し、自動車塗装の化成処理について解説した。

自動車用表面処理の最近のトレンドについて同氏は、環境対応や軽量化といたニーズがあるとして、重金属及びリン非含有やアルミニウム材に適したジルコニウム化成処理剤の開発が進んでいると説明。「リン酸亜鉛化成処理が築き上げた長い歴史に、追い付き追い越すよう挑んでいる」と述べた。

ジルコニウム化成処理剤の特長として、表面調整工程削減による節水効果、スラッジ低減、P・Ni・Mnフリーによる廃水負荷軽減などを挙げた。同社では約5年前より本格的に市場展開しており、自動車の他にも家電や建材などでも実績を重ねている。

また、大日本塗料の山内健一郎氏は「鋼構造物塗装における環境対応の動向と当社の取り組み」をテーマに、VOC排出量削減の動きなどを解説した。

同社では水性防食システムを上市しており防食下地(有機ジンクリッチペイント)から上塗りまで水性塗料で構成している。その他にも環境遮断性を高めた変性エポキシ樹脂塗料下塗り「タイエンダー下塗」や"貼る"材料の重防食シート「メタモルシート#1」を紹介した。

今後については「カーボンニュートラルを意識した技術開発の促進が予測される。再生可能エネルギーの拡大、資源循環型社会の構築、カーボンサイクルといった取り組みに貢献できる材料や工法の開発が必要」と述べた。

その他のプログラムとして、「環境に貢献するEB照射技術」(NHVコーポレーション・岡崎泰三氏)、「プラスチック加飾技術の概要と今後の展開」(MTO技術研究所・桝井捷平氏)、「持続可能な社会の実現へ/フィルム加飾技術からのアプローチ」(日本ペイント・オートモーティブコーティングス・小林和人氏)の講演が行われた。