11月12~14日の3日間にわたり、幕張メッセで開催された第8回塗料・塗装設備展。塗料メーカーや設備メーカーなどの出展各社にとっては、製品のPRはもちろん、開発途上の技術やサービスの方向性が市場ニーズに適っているか探索する得難い機会になっている。多くの人でにぎわっていたブースも少なくなく、来場者とブースの担当者が熱心に話し込む様子も随所で見られた。
■日本ペイント
日本ペイントグループ5社の製品・サービスを集めた展示を実施。担当者は「こうした形式の展示を行ったのは久しぶり。各社の技術でシナジー効果を生み出し、市場ニーズを獲得したい」と意気込んでいた。
日本ペイント・インダストリアルコーティングスは、これまで他の用途で活用していた技術の用途拡大を目的に、開発品として、インライン塗装可能な「高反射塗料」「耐火塗料」「発泡断熱塗料」を提案した。
高反射塗料は、塗膜中に空気層を取り込むことで光の乱反射を生じさせ、可視光領域で反射率98%以上を達成している。「従来は照明の効果を高める用途などで使われていましたが、他の使い方のアイデアの探索が狙い」と担当者は話していた。
■関西ペイント
自動車補修、建築、工業の各用途向けの塗料を展示した関西ペイントブース。25年9月に上市した新製品である1液高分子エポキシ樹脂下塗塗料「メタルグリップPro」のパネルには多くの来場者が注目していた。
従来製品の「メタルグリップECO」の上位互換としての位置付けで、主な機能は「各種鉄・非鉄金属素材に適用可能」「粉体でも2C1B可能」「補修塗装時のチヂミ抑制」「電着並みの防錆力」など。
常温乾燥型や焼付型、粉体塗料を含めた各種上塗への2C1B適用は市場からの要請に応えたもの。「メタルグリップPro」を30μm塗装し、10分後にポリエステルウレタン粉体塗料で上塗した場合にワキのない高平滑性が得られることを打ち出していた。
■大日本塗料
大日本塗料のブースでは、塗装現場の省工程・省エネルギー化につながる塗料など、持続可能な社会の実現に貢献する高機能塗料を紹介した。
環境対応形アクリルウレタン樹脂系下塗・上塗兼用塗料「オールイン1(ワン)ウレタン」は、下塗・上塗の両方の塗膜性能を兼ね備えている。
「2コート仕様を1コートに変更可能で、防錆性や耐候性、耐切削油性といった機能も同等レベル。工程短縮や費用削減に貢献できる」と担当者。
工業用水性塗料として、一液形エポキシ樹脂系エマルジョン下塗塗料「AQプライマー」及び一液形ウレタン樹脂系エマルジョン上塗塗料「AQウレタン」も展示。水性塗料の課題である乾燥性の向上などが特長だ。
■中国塗料
中国塗料のブースでは、主力の船舶用塗料の新規提案や、重防食、プラスチックフィルム、住宅建材の各用途に向けた提案を行った。
最新の取り組みの1つとして、船舶のバラストタンク防錆用途のバイオエポキシ樹脂塗料「CMP ノバ2000 (Bio)」を展示していた。
三井化学が展開するマスバランス方式によるバイオマス由来のエポキシ樹脂などを原料とし、ISCC PLUS認証(持続可能な製品の国際的な認証制度)を取得している。品質・塗膜性能も石油由来品と同等とのこと。
石油由来品からの代替メリットについては「約660kg/塗料1トンのCO2削減効果」「マスバランス方式による持続性と機能の両立」「船舶の環境性能の向上」を掲げていた。
■イサム塗料
単独ブース出展のイサム塗料は、2液型ウレタン塗料「ポセイドン5000」や1液型アクリル樹脂塗料「アクアシャインGA」といった工業用水性塗料などの環境対応製品、自動車向け、タイル床面向けの塗料など多角的な提案を揃えた。
環境対応型スプレーパテ「ノンスチレンスプレーパテ」は市場の要望を受けて開発したもの。
人体への有害性が懸念されるスチレンの代替材料を採用し、臭気も低減。2種類の希釈剤の使い分けで即加熱や厚付けが可能となり、「多くのユーザーに受け入れてもらえそう」と担当者も期待を込めていた。
■山本通産
色と光の専門商社である山本通産は、欧州発の固体着色剤システム「Pearls」を前面に押し出した展示を行い、実演時には多くの来場者が足を止めていた。
「Pearls」は、顆粒状の顔料が封入されたボトルを16色セットできる装置。予め登録しておいた色を指定すると、ボトルから指定の色の調色に必要な顔料がそれぞれのボトルから供給され、装置下部のノズルから吐出される。水を入れた容器でこれを受け、攪拌すれば水性塗料が得られる仕組みだ。
担当者によると、欧州では、環境配慮型の新技術として既に100台以上の実績があるとのこと。今回が日本での初披露であり、これまでにないタイプの技術であるため、使い方は市場の反応を見ながら探っていくとしていた。
■パーカーエンジニアリング
同社は日本パーカライジングと共同出展した。自在な角度調整で複雑なワーク形状にも優れた塗り込み性が可能となる塗装機器「二軸スピナー」のデモンストレーション展示や粉体塗装機などを紹介した。
その中でも注力していたのが新型ミストフィルター「DRY CUBE」。塗装ブースにおける乾式ミストフィルターで、段ボール製の折り込み構造となっている。塗料ミストの捕捉力は通常乾式フィルターの約20倍となる上、水やポンプが不要のためコスト削減につながる。
省エネ対策としても関心を集めており、出展ブースにおいて、二軸スピナーのブースで「DRY CUBE」を使用しその性能をアピールしていた。
■NCC
長野県の工業用ディーラーであるNCCは4年連続の出展となった。今回は「塗装工程の省人化」に焦点を当てた製品を紹介した。
中でも来場者の関心を集めたのが、イタリア製の自動塗装ロボット「LEBOT MV」。独自のセルフラーニング機能により、いつも通り塗装するだけで塗装作業者であれば誰でも簡単にティーチングできる。
出展ブースでは、実際に作業者の動きをリアルタイムで学習する様子を見せていた。動作だけでなく塗料のON/OFFや塗装品質まで忠実に再現するロボットに注目が集まっていた。
「LEBOT MV」は6軸多関節塗装ロボットであり、量産塗装ラインの補正作業など幅広い現場での省人化に寄与するとして提案する。
■IEC
塗装エンジニアリングを行うIECは省エネや省人化に寄与する設備機器を出展した。
その中の「ダイオードレーザー加温乾燥」では、予備加熱や水切り乾燥、塗装乾燥において、レーザーによる新たな乾燥を提案する。照射エリアを均一に昇温でき、エネルギー変換効率は50%を超えるという。加温や乾燥時間の短縮になるため、従来の乾燥炉設備に比べて省スペース化が可能となる。
その他には「マリモ除塵装置」を出展。難しいと言われる帯電した埃の除電と、ロボットによる品質の均一化の実現により塗装品質の向上に役立つとしてPRした。自動車メーカーをはじめとして実績を重ねている。
■トップ工業
塗装専業者のトップ工業は、メタリックやパール仕上げなどの色彩豊かな塗装技術や耐熱塗装など機能をアピールした出展となった。それとともに、近年注力している塗装治具の剥離事業を紹介。塗装品質や生産性の向上に寄与するとして、剥離の重要性を訴求する。「外部委託ではコストや納期の問題が大きく、お客様の塗装の生産性を低下させてしまう」として、剥離請負を積極的に進めている。
■日本塗装機械工業会(CEMA)
CEMAブースには会員企業が各社の注力製品を出展した。旭サナックは高塗着回転霧化静電自動ガン「SUNBELL Eco Premium」などを紹介。新制御・定電流制御機能の搭載により、ワークとの距離を100mmまで近づける近接塗装を可能とし、高塗着を実現した。通常の250~300mmでも高い塗着効率での塗装が可能となっており、自動車部品をはじめ多用途に提案している。
この他、武蔵塗料、アネスト岩田、タクボエンジニアリングは3社合同による「インジウム ミラー コーティング システム」のカラーサンプルを中心に展示した。スプレーによる量産が難しかったメッキ調塗装を実現した。塗料と設備の一体型システムにより、意匠性や機能性とともにコストや環境性能をトータルで高次元に引き上げる。
また、ヒートエナジーテックは水素バーナ塗装乾燥炉を紹介。同社の水素混焼式熱風発生装置は、水素、水素+都市ガス、水素+LPGの3種類に対応しており、水素の価格低下傾向に合わせて段階的なカーボンニュートラルへの移行を提案する。桂精機製作所・山梨工場の粉体塗装ラインで採用されており、環境に配慮した次世代技術として展開を強める。













