塗料塗装普及委員会は昨年11月26日、東京塗料会館にて「2025年度色彩セミナー」をWEB配信とのハイブリッド形式で開催。塗料産業の関係者に向け、日本流行色協会の武田里美氏と日本色彩研究所の名取和幸氏がそれぞれ講演を行った。会場では20名が参加し、ライブ配信で60名が視聴した。

武田氏は「時代を映し出すカラートレンド~モビリティカラーから読み解く時代の声~」と題し、自動車のボディカラーの変遷と今後注目の色について説明した。

同協会は1965年から国内の4輪メーカー8社が生産する車を対象に、車体色に関する調査を行っている。塗料・塗装の技術がボディカラーに影響を与えた事例として、1980年代の「技術革新の白」を紹介した。

この年代以前は、ベージュや生成りのような「白っぽい車」はあっても、真っ白な車は技術的に難しかった。そうした中、トヨタは新しい塗料・塗装技術を駆使し「スーパーホワイト」と呼ばれる真っ白な「ソアラ」を発売。これを契機に白い車の人気が爆発し、86-87年には80%を占めるに至った。

これから重要となるカラーについては、キーワードの1つとして「高彩度色」を挙げた。武田氏は「2025年はコロナ禍の停滞からの脱出を感じさせる、大阪・関西万博の開催、女性首相誕生といった大きな動きがあった」と指摘。これと軌を一にするように、今後、動的なイメージのあるレッド、オレンジ、イエローといった色が注目されるのではと展望した。

名取氏の講演「多様性を活かすカラーコミュニケーションの世界」では、色弱の人の色の見え方や、色弱の人と色についてコミュニケーションする方法などを取り上げた。

赤と緑がほとんど同じに見えるような、多くの人と違った色の見え方をする人(色弱の人)は日本国内で300万人以上いると言われている。

それらの人は色による情報を正しく受け取れない場合がある。例えば、災害の発生状況を知らせる地図が緑で、発生箇所が赤い×印で示されていると×印が判別できない。重要な情報が伝わらないと命に係わるケースもあるので、情報伝達に関しては配慮が必要だ。

塗料・塗装分野での配慮の方法については、日本塗料工業会が作成に協力した「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」が役立つ。グラフや地図、機械や画面の操作ボタン、建物の階数表示やエリア分類などを作る際の参考となる色使いがまとまっている。

床材メーカーの田島ルーフィングと日本色彩研究所が共同で取り組んだ「ユニバーサルデザインカラーネーム」の事例も紹介。同社の床材製品の色サンプルには「うすい黄みのベージュ」のように、色の調子、色みの偏り、基本色名が付いており、色弱の人の色選びの助けとなっている。

「色と言葉、つまり色名が一緒になっていることが重要」と名取氏。色弱の人たちが持つ色のコミュニケーションへの苦手意識が和らぐと説明した。