関西ペイントの中国合弁自動車用塗料製造会社・湖南湘江関西塗料有限公司(薫事長・許イン氏、総経理・斉藤悟郎氏、副総経理・黄黎鋒氏)は、9月12、13日の2日間、湖南省長沙市のホテルで第3回塗料技術フォーラム「C-Painters2018」を開催し、自動車メーカー、部品メーカー、塗料メーカーなど約200名が参加した。

C-Paintersは同社が主催する技術交流会の呼称で、自動車塗料に関する技術発表を通じ、中国自動車塗装業界の親睦交流及び現地の自動車メーカーに対するプレゼンス(存在感)を高めることを目的に2014年から隔年で開催している。日本、中国ともに塗料メーカーが単独で複数の自動車メーカー関係者を一堂に集めるイベントは例がなく、中国エリアを担当する自動車塗料本部グローバル営業部の小林直樹氏によると「人脈を重視する中国ならでは」と3回目を迎え恒例イベントとして定着しつつある。

2日間に及ぶ技術フォーラムでは、計14編の技術レポートを発表。発表者も湖南関西及び関西ペイントの他、日系、欧州系、民族系現地自動車メーカーの担当者と多彩な陣容となった。主な演題内容は下記の通り。

「自動車低温一体化塗装技術」(関西ペイント)、「水性部品塗料のトラックへの応用」(一汽解放)、「TFPT適用CED応用試験検討」(湖南関西)、「複合コートの色開発と応用検討」(長安汽車)、「電着塗料とその承認の紹介」(上海VW)、「全アルミボディ塗装工程の紹介」(ジャンホイ汽車)、「鄭州車体塗装VOC改造の紹介」(東風日産)、「人間の車生活をより快適にさせるグリーン技術」(東風日産)など。

また2日目は、同じ長沙市銅管にある建設中の同社新工場を見学した。同工場は、年産18万トンの稼働能力を有する塗料工場と年産6万トンの樹脂工場を持つ世界最大の自動車用塗料工場となる。3期に及ぶ工期の内、昨年1期工事が完了し、一部塗料と樹脂の生産を既に開始しており、2020年の完全竣工を予定している。

同社としては、生産規模、技術力を内外に発信し、主力供給先である民族系メーカーから欧米、日系へと供給を広げたいとの狙いがある。

現在、中国では、2025年までは堅調に自動車需要が増加すると見込まれており、増強のための設備投資が活発化。更に電気自動車においては、生産工場の有無を問わず200社ほどのベンチャーがあると言われており、最新技術の集積を含め、人的交流を重視する同社のフォーラムの価値が高まっていくとの期待がある。

〈解説〉

湖南湘江関西塗料有限公司は、湖南湘江塗料集団公司50%、関西ペイント45%、朝陽貿易5%の株式を保有する合弁会社で、関西ペイントの5社ある自動車塗料を製造する中国合弁の中で最大の生産量、販売量を誇る。合弁関係は20余年に及び、民族系メーカーへの供給を中心に最近では上海VWへの供給を開始した。

2020年に完全竣工する新工場では、樹脂生産を増強し、技術力、供給力を両立することで、供給先の拡充に努めている。