遮熱塗料統一表示制度の運用開始
星マークで省エネ性能を表記

日本塗料工業会は遮熱塗料(屋根用)の遮熱性能基準に関する統一表示(ラベリング)制度を策定し、運用を開始した。同制度は、遮熱塗料の省エネルギー性能を星マーク(最大3つ)の数によって明示し、消費者に遮熱塗料の性能をわかりやすく伝えるとともに、さまざまな技術特性を訴求する遮熱塗料を一元的に評価することで、遮熱塗料に対する社会的信頼を確保し、普及拡大につなげたいとの狙いがある。


かねてから検討が進められてきた遮熱塗料のラベリング制度がついにスタートを切った。高日射反射率塗料、遮断熱塗料、断熱塗料、熱放射塗料など、技術特性が異なる遮熱塗料製品が市場に出回る中、それらを網羅する測定法を用いることで、遮熱塗料の省エネ性能を統一表示することがラベリング制度の目的にある。

制度策定に向け本格的に動き出したのは、新試験法としてJIS K5603(塗膜の熱性能-熱流計測法による日射吸収率の求め方)が制定された昨年から。新試験法により塗料の省エネ性能を測定することが可能になり、日塗工が組織する高日射反射率塗料普及ワーキンググループ(WG)が主体となり、ラベリング制度の具体的運用法に向け討議を行ってきた。

今回策定したラベリング制度は、新試験法で測定された日射侵入比に応じ上位から☆☆☆、☆☆、☆と星の数で遮熱レベルを表記するというもの。塗料の技術特性の違いにも考慮し、日射反射機能に基づく塗料は、事前に定められた低明度領域(L*<40)、中明度領域(40≦L*<80)、高明度領域(80≦L*)の3つの明度区分において星の数で性能基準レベルの申請が可能となる。また断熱や熱放射など日射反射機能以外の遮熱機能においては、明度区分はなく、当該塗料の優位性を示す特性値によって性能基準を申請することができる。日射反射機能と日射反射機能以外の技術特性は、登録番号で分類する。

登録適用塗料は、①日射反射機能を有する遮熱塗料(高日射反射率塗料)②断熱機能、放熱機能など日射反射機能以外の遮熱塗料③その他、当該遮熱塗料と認められた製品。一方、外壁用、産業機械用、構造物用、路面用などの遮熱塗料は適用除外とし、屋根用に限定した。その他、外壁兼用屋根用遮熱塗料やOEM塗料の扱いについても別途規定を定めた。

申請手続きは、遮熱塗料(屋根用)自主管理商品登録申請書、日射侵入比報告書、商品カタログを日塗工に提出し、事務局が適正な書類と判断すれば、登録商品として認定する。また審査が必要と判断した場合や申請内容に疑義が生じた場合は、WGが審査を行うとしている。品質保証については申請企業が責任を負うとした。

申請書類の内、日射侵入比報告書は、現時点で唯一の測定機関である日本塗料検査協会への委託が必要となる。当初、検討段階で屋根用高日射反射率塗料規格であるJIS K5675取得製品に対し、日射侵入比の測定を不要とする優遇措置を設ける案もあったが、「社会認知向上のため、多くのメーカーが利用できる形にした」(日塗工)と、最終的には申請各社に日射侵入比の提出を義務付ける形となった。その上で日射侵入比を測定しない際の方策も設け、全日射反射率の測定(JIS K5602に基づいたSCI方式測定による自社測定値)より日塗工が定めた日射侵入比近似式を用いて日射侵入比を算定することを可能にした。しかし、主たる遮熱機能が日射反射機能であること、3明度区分ごとに1色の日射侵入比の実測値があり、遮熱性能基準の範囲にあることを前提としており、実質的に日射侵入比の測定を求めた形だ。

日射侵入比報告書の取得費用(日塗工会員外は10万円程度になる見通し)と別に要する申請手続き料金は、日塗工会員の際、1申請(商品)につき10色まで一律5,000円(非会員10,000円)。10色を超える以降は、1色ごとに250円(非会員500円)とした。

登録製品は、事務局から遮熱性能基準ラベルがデータで申請企業に送られ、定められた基準に則り、容器、カタログ、色見本帳に表示することが可能になる。またコスト負担に配慮し、星マークを表示しないラベルなど、ラベルデザインにバリエーションをもたせた。なお、登録商品の有効期間は3年。2019年4月1日を基準に3年ごとに更新申請を求めることにした。

遮熱塗料(屋根用)自主管理要領は日塗工ホームページにて公開している。



遮熱性能基準レベル
遮熱性能基準レベル
遮熱性能基準ラベル(例)
遮熱性能基準ラベル(例)

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