ドラム代替へ、小型タンクの拡大目指す
化学品輸送の効率化に寄与

総合物流会社の日陸(本社・東京都千代田区、社長・能登洋一氏)は、小容量運搬容器「小型・IBC・ポータブルタンク」の本格展開に入った。同タンクは、ワンパレットでドラム缶5本に相当する1,000Lの積載を可能にした小型ステンレスタンク。トラック輸送、フォークリフト運搬に対応する他、再利用性に優れることからドラム缶輸送に替わる新たな小口輸送方式として関連業界へのアプローチを進めている。


日陸は1946年に設立した総合物流会社で、化学品を主力に国内外にわたって海上輸送、航空輸送、陸上輸送を展開している。20フィートのISOタンクコンテナ輸送では、国内トップのポジションにあり、群馬、新潟、東京、千葉、川崎、横浜、名古屋、大阪、神戸、周南、北九州、佐賀の12カ所に輸送事業所を配備する。

一方、海外においてもアメリカ(ニューヨーク、ヒューストン)、イギリス(ロンドン、ノース・ヨークシャー)、オランダ(ロッテルダム)、フランス(ル・アーヴル)、中国(上海)、韓国(ソウル、華城、釜山)、台湾(台北)、タイ(バンコク)、ベトナム(ハノイ)、シンガポール、インドネシア(ジャカルタ)の11カ国、14拠点を保持。グローバルレベルで輸送、在庫、配送に至る物流サービスの強化に努めている。

今回、同社が展開する小型・IBC・ポータブルタンクは、容量1,000L(容器質量230kg)の小型タンクにシャーシを取り付け、パレット輸送による運搬、配送を可能にしたのが特長。ワンパレットでドラム缶5本に相当する積載を可能にしたことで配送効率の向上を訴求する。

化粧品や食品に使用するサニタリータイプを揃える中、危険物積載品タイプの仕様は、充填・排出最大圧力30k Pa、通気口25Aボールバルブ、安全弁25A(噴出設定圧力30kPa)、液出口50Aボールバルブ(先端カムロック接続)。洗浄と定期点検により約10年の運用を可能としており、ドラム缶輸送に替わる新たな小口輸送方式として普及拡大に期待感を高めている。

中でも同社が差別化に据えるのが、レンタルニーズに応えた点。

「小型タンク自体は同業他社でも展開しているが、レンタルに対応しているのは当社のみ。季節要因や需要変動に応じて、使用量や頻度を変えることができる」(同社コンテナ事業部)とコストメリットをアピール。洗浄や点検についても同社が対応する。

オーダーメイド品のリースにも対応しており、200Lのキャニスター缶や1,000L粉体用IBC容器、1,800L運搬容器(消防法規格)など容量、内容物に応じた受注製作を行っている。

その一方で、同社が主力とするISOタンクの陸上輸送も積極化していく計画を掲げる。「タンクローリーが排出ガス規制や車体自体の価格の高さから運用が難しくなっている中、タンクローリーに替わる輸送法として引き合いが増えている」と11KLから26KLまで9つのタンク容量を揃え、原料輸送から製品輸送に至る物流サービスの深掘りを図っている。

ワンストップサービスを強化

同社が指向するのは、化学品を中心とした国内、海外を含めたワンストップサービスの強化だ。

国内拠点としては、先述の12カ所の輸送事業所に加えて、9カ所の物流倉庫を保有し、加温・冷却設備、窒素設備を設置。ドラム缶やガロン缶への充填作業に対応する。またワンタンク・ワンラインの単独配管方式を採用し、船舶及びタンクローリーでの受け入れ、払い出しに対応するなど、原料輸送から製品輸送を網羅した体制を構築している。

川崎、名古屋、大阪の3拠点では、有機・無機化学品を貯蔵タンクで保管し、配送する機能も整えた。

一方、「当社は全社員が化学品、危険物の取扱いに関する資格を取得している」とサービスの強化に加えて、注力しているのが人材教育。

法令対応の徹底を推進するとともに、ドライバー教育も重要施策に掲げる。現在、資格取得の推進や待遇及び職場環境の改善に努めるなど、自社配送便(現在約6割)の比率を更に高めていく考え。物流品質の向上を成長軸に位置づけている。

同社はこうした原料の仕入れから製品の配送までを網羅したワンストップサービスを武器に顧客の物流改革に介在していく意向を示す。

ドライバー不足による運賃高騰や少量小口化による物流業務の増大と個々の企業にのしかかる負担が大きくなる中で「物流業務のアウトソーシング化はトータルコスト低減にも寄与する」と仕入れから製品配送までをカバーするワンストップサービスの価値を説明。サプライチェーンの維持を課題とした各業界の共同配送の受託にも前向きな姿勢を見せる。



小型・IBC・ポータブルタンク
小型・IBC・ポータブルタンク

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