関西ペイントは、2021年度業績で連結売上高4,900億円を掲げる第16次中期経営計画を策定した。4月1日付に就任した毛利訓士社長にとって初中計となる。

2019年度から2021年度を期間とする新中計で数値目標に掲げるのは、連結売上高4,900億円(年平均成長率4.7%増)、連結EBITDAマージン15.5%超(2018年度比2.9ポイント増超)、調整後ROE10%超(同1.8ポイント増超)、3カ年累計営業CF1,400億円の創出(15中計期間累計営業CF比400億円増)。「資本生産性と収益性向上に注力していく」(毛利社長)と長期的視点に立った持続的な企業価値成長に主眼を置いた。

前中計(15次)は、海外セグメントでの売上が伸長し、2016年度から2018年度の3年間で993億円増加。その内、国内事業は40億円増と海外セグメントでの売上が牽引し、グローバル化が大きく進展。加えて、非自動車比率が売上全体の68%(6ポイント増)を占め、自動車、工業、建築が3割弱で並ぶなど分野別ポートフォリオの均衡化を実現できたと一定の評価を示す。

しかし一方で、重点施策として掲げていた収益力の向上、グループ経営基盤の強化については、効率化、最適化によるコスト削減や事業環境変化への対応スピード、意思決定スピードにおいて課題を残していると指摘。そこで新中計では、①資本生産性・収益性の向上を伴う利益成長②事業競争力の向上③グループ総合力の向上を重点施策に据えた。

具体的には、資本生産性・収益性向上は、利益成長とバランスシート適性化の両面で施策を掲げ、投下資本利益率(ROIC)を評価指標に売上高、EBITDAマージン、調整後ROEの向上につなげていく方針。事業競争力向上は、インドの建築をアフリカ、国内の自動車をアジア、欧州の工業を国内、国内の工業を欧州というようにグループ内のノウハウやビジネスモデルの活用を促進し、ポートフォリオと競争力の強化を図る。またグループ総合力の向上は、多様性の推進、人財マネジメント、意識改革を進め、"One Kansai"の精神で徹底した顧客志向を持つグローバル人財の育成と登用を加速させるとしている。