平成30年度(平成30年4月~平成31年3月)の塗料出荷(販売)は、数量ベースで対前年比0.4%減の177万2,612トン、金額ベースで1.8%増の6,990億3,500万円となった。在庫量は、10万2,183トン、平均単価は2.3%増の394円となった。数量は4年ぶりのダウン、金額は3年連続の増加となった。

昨年は、6月に震度6弱を記録した大阪府北部地震、7月に広島、岡山を襲った西日本豪雨、関西と北海道に甚大な被害をもたらした9月の台風21号、北海道胆振地震と大規模災害に見舞われた1年となった。

塗料出荷数量を見ても災害の影響は明らか。対前年比で見ると、6月5.1%減、9月7.3%減を記録。10月からは復旧作業が本格化し反転したものの、12月に再びダウン。米中貿易摩擦の影響が工業用分野に追い討ちをかけ、平成31年度に入ってからも2月0.4%減、3月5.8%減と弱含みの状況が続いた。

一方、金額は数量減に反して1.8%の微増。各社高付加価値品のシフトを加速させている側面はあるものの、昨年は原材料高騰、ドライバー不足による運賃高騰が直撃。自補修塗料、一部工業用の値上げ効果から単価上昇につながった。

平均単価が大きく伸びたのは、不飽和ポリエステル(13.8%増)、シンナー(8.8%増)、船底塗料(5.9%増)、エポキシ樹脂系(5.2%増)など。平均単価(年平均)が減少したのは、アミノアルキド樹脂系、ウレタン樹脂系、その他の塗料の3品目のみとなった。

それに対し数量ベースでは、不飽和ポリエステル(21.9%減)、その他溶剤系(11.0%減)、電気絶縁(9.8%減)、厚膜型エマルション(6.4%減)、エポキシ樹脂系(5.4%減)の減少が目立ち、数量減、単価上昇の構図が明らかとなった。

品目別で出荷数量の伸長が目立ったのはアクリル常乾(15.2%増)、ウレタン樹脂系(5.7%増)、アクリル焼付(4.4%増)、エマルションペイント(3.9%増)、アルキドさび止(2.8%増)、粉体塗料(2.8%増)。不振を極めた建築汎用分野に反して、自動車関連、機械関係などの工業用分野が1年を通じて堅調に推移した。

平成31年度は、建築分野を中心に消費税増税前の駆け込み需要の増加が期待される一方、米中貿易摩擦や中東危機の影響が懸念されるなど、依然として不安定な状況が続くと見られる。

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