自動車関連不振、消費増税も打撃

塗料メーカー大手4社の2020年3月期連結業績は、売上高6,633億5,200万円(前年同期比3.1%減)、本業の儲けを示す営業利益は517億9,100万円(同5.2%増)となった。営業利益で中国塗料が前期の損失計上から復調したが、関西ペイント、大日本塗料は減収減益となった。エスケー化研は消費税増税の反動を受け売上高1,000億円の大台突破はならなかった。新型コロナの影響はこれから本格化する見通しで、中国塗料を除く3社が業績予想の公表を見送った。


関西ペイントは、売上高4,068億円8,600万円(4.8%減)、営業利益315億1,000万円(2.5%減)、経常利益348億7,400万円(0.1%増)、当期純利益184億7,700万円(6.2%増)となった。自動車生産台数の減少を受け、北米を含むその他地域を除く全地域で減収。日本1,551億円(2.7%減)、インド817億円(6.0%減)、欧州682億円(5.2%減)、アジア602億円(5.7%減)、アフリカ357億円(9.4%減)となった。

利益面では、原材料価格の下落や商品MIXによる付加価値化が奏功し、売上原価率、販管費とも抑えたが、為替差損(約15億円)が影響。経常利益では中東地域の事業縮小・撤退、欧州ののれん償却が寄与し増益を確保した。

コロナ禍の影響について同社は、中国、台湾は需要回復基調にあるとした上で日本、欧州、タイ、インドネシア、北米は大幅需要減を予想。またアフリカ及びアジアの一部で国境封鎖やロックダウン状態にあるとし、厳しい状況であることを示した。こうした中、同社は5月1日に金融機関から400億円を調達。終息までの長期化に備え、コミットメントラインやCP発行など資金調達手段を検討していく意向を示した。

現金及び現金同等物期末残高は、前年比196億円減の505億9,400万円。自己資本比率は3.2ポイント増の49.4%となった。

エスケー化研は、売上高960億2,800万円(1.0%増)、営業利益112億3,600億円(1.9%減)、経常利益109億6,400万円(5.9%減)、当期純利益75億4,400万円(3.0%減)となり、3度目の挑戦となった1,000億円の大台突破は来期以降へ持ち越しとなった。

四半期(Q)ごとの売上高は、第1Q・244億円、第2Q・262億円、第3Q・242億円、第4Q・212億円と推移。中間期で大台突破が確実視されたが、消費税増税後の10月から減速し、3月のコロナ禍の影響も加わった。

主力の建築仕上塗材事業は、塗り替え市場での拡販が寄与し、売上高860億2,100万円(0.2%増)を確保。耐火断熱材事業は、首都圏、都市部の再開発事業の受注拡大により売上高81億5,000万円(11.2%増)と大幅に伸ばした。

現金及び現金同等物の期末残高は前年比75億6,000万円増の680億9,500万円。自己資本比率は0.8ポイント増の83.6%となった。 

中国塗料は、売上高877億2,900万円(0.8%減)、営業利益34億9,800万円、経常利益40億6,500万円。最終利益は、中国のコンテナ用塗料製造関連設備の減損処理(約16億円)を実施し、当期純損失7,100万円となった。

主力の船舶用塗料分野は、新造船竣工量の増加や2020年1月に開始したSOx(硫黄酸化物)規制強化に伴う修繕需要により10.1%増の売上高702億7,400万円。工業用塗料分野は、国内の建材用塗料が低調に推移した中、東南アジアで重防食塗料の販売が伸長し、1.8%減の123億5,300万円と前年並みを確保した。コンテナ用塗料分野は、低採算案件受注を抑え減収となった。

通期業績は、新造船向けで2021年3月期の売上計上予定案件の多くが2019年以前の受注であるためコロナ禍による影響は軽微になる見通し。ただ修繕スケジュールの延期やその他分野でプロジェクトの遅延・中断が見込まれるとし、レンジ形式で公表した。

現金及び現金同等物期末残高は、約6億8,000万円増の214億7,900万円。自己資本比率は0.9ポイント減の54.8%となった。

大日本塗料は、売上高727億900万円(1.4%減)、営業利益55億4,700万円(8.1%減)、経常利益57億8,600万円(6.8%減)、当期純利益36億6,200万円(1.6%増)となった。

国内塗料事業売上高は、2.1%減の518億6,100万円、海外は、9.6%減の72億9,000万円となり、国内外とも減収減益となった。その他、照明機器事業は、業務用LED分野で間接照明需要が好調に推移し、売上高101億3,500万円(8.1%増)の増収増益。蛍光色材事業も売上高13億3,700万円(3.8%増)と非塗料部門が下支えした。

今年6月下旬に予定していたコーティング技術センター(小牧)、防食技術センター(那須)の開所は7月上旬に変更。両センター、中国新会社の投資に伴い長期借入24億円を実施した他、コロナ終息を見据え、今期は手元流動性を単体月商水準まで積み上げたいとの意向を示した。

現金及び現金同等物期末残高は、6億4,000万円減の50億6,400万円。

自己資本比率は0.8ポイント増の54.4%となった。

決算表



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