クラウドファンディングでコラボ商品を開発
塗料業界に“KAWAII”を吹き込む

アニメやアイドルを通じて顧客企業の販促活動を支援する塗料屋サンライズ(代表・小木曽貞幸氏)は、クラウドファンディングを利用したコラボ商品の開発に着手する。自ら手掛けるアニメキャラクターを塗料缶ラベルにするプロジェクトに対し、即日で目標金額の20万円を突破。業界の価値向上に挑む同社の姿勢に業界内外から共感を呼んでいる。


塗料屋サンライズは、「斜陽産業を元気にする」をビジョンに掲げるイベント・広告会社兼ネット専門塗料販売会社。代表の小木曽氏は、都内の販売店で約15年のキャリアを持つ営業マンとはいえ「価格競争で疲弊していくだけの塗料販売業の現状を何とかしたかった」と趣味のアニメやアイドルに活路を見出し、2年前に同社を設立した。

基本的な活動は、自ら監修するアニメキャラクターと実在の女性アイドルを通じ、クライアント企業の販促企画やイベント活動を支援するというもの。 活動範囲もガソリンスタンド、地醤油メーカー、イタリアンレストラン、食品製造、飲料メーカー、家電量販店など多岐にわたる。業界内では塗料販売店の展示即売会の他、昨年12月の「高機能塗料展」でアンバサダー契約を結ぶ斎藤塗料のブースに参加し、女性アイドルとともに来場客を盛り上げた。

こうした同社の活動を後押しするのは、中小零細企業の活動を応援したいという同社のビジョンに共感するファンの存在にある。 

現在、Twitterの公式アカウントには、2万人を超えるフォロワーがいる他、アイドルたちもSNSで活動状況や日々の近況を伝え、ファンとの関係を深めている。「単に商品やイベントにアニメやアイドルを使えばいいというのではなく、目的のために動いていることを伝えるのが重要」と小木曽氏。アニメファンを惹きつけるデザインやキャラクター設定もさることながら、ファンとの地道な交流が同社の基盤を支えている。

小木曽氏は「アニメやアイドルファンには、強力なネットワークがあり、それぞれがインフルエンサー的な力を持っている。年齢層も職業も幅広く、最近は同じ塗料販売店の方からも応援のメッセージを頂けるようになった」と業界内にいるアニメファンとの関係も深めている。

オリジナル商品の展開へ

同社にとって、これまでは依頼を受けた企業の支援を中心に活動してきたが、ついに念願であったオリジナル商品の開発を決意する。アイデアとして浮かび上がったのは、斎藤塗料が開発した防錆密着プライマー「サイクロンスプレー」のオリジナルラベルでの販売。鉄系、非鉄金属に密着するエアゾールタイプのプライマーだが、プロからDIYまで幅広いユーザー層を持つ商品の可能性に着目し、缶ラベルにキャラクターをあしらったオリジナル品を投入することで、性能や価格とは異なる価値の創出に挑むことを決めた。

それでも「一般に馴染みのない塗料でキャラクターラベルが通用するのか、最後まで不安がつきまとった」という。しかもラベルのみの開発とはいえ、デザイン料やロット単位の発注など、一介のサラリーマンに開発費を捻出する余裕はない。そこでマーケットリサーチと資金調達の方策として見出したのが、クラウドファンディングの活用。国内最大のクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」を通じ、3月24日から資金協力を募集した。

目標金額は20万円。寄付額に応じて「サイクロンスプレー」とステッカーを還元するフィードバック型を採用し、2,200円、3,200円、6,200円、9,800円の4プランを設定。更に活動支援のみの1,000円と塗料販売店のイベントを支援する10万円プランも設けた。

目標金額を高く設定すれば、目標未達に終わり、自己負担が大きくのしかかる。そうした読みの難しさから20万円と控えめの設定としたが、蓋を開ければスタート初日で目標の20万円を突破。今も協力額は増え続け、4月1日時点で45万円を調達した(支援者数51人)。期限の4月26日まで募集は続けられる。小木曽氏は「塗料業界にも世界に通じるKAWAII(可愛い)を吹き込みたいとの思いで企画したが、想像を超える反響に感謝しかない。人材も資金も足りない中での活動だが業界活性化の一助になれば嬉しい」と話す。

現時点で支援者の構成は、ファン7割、業界関係者3割の状況で、同社としては全国の塗料販売店との協業を加速させたい考え。既に第2弾のクラファンプロジェクトに向け準備を進めているという。



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HOMENew Trendクラウドファンディングでコラボ商品を開発

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