集客イベントをやるからには、できるだけたくさんの人を集めたい―。そんな主催者側の思いに応えるプロジェクトが塗料業界企業の中から誕生した。

その名も「塗料屋サンライズ」。アニメキャラクターが"塗料業界に旋風を巻き起こす?!"をキャッチフレーズにWEBサイトやグッズを展開する他、イベントには、アニメとリンクした女性アイドルが会場を訪れ、一緒に盛り上げるというプロジェクトだ。

主宰するのは東京都品川区に拠点を構える「カラフルMemories」(会社名)。主業は、通販サイトやWEBを中心とする塗料販売ながら、イベント企画・運営や広告コンサルティング業務を手掛けている。

社長を務めるのは小木曽貞幸氏(42)。実は現在も都内の塗料販売店で15年のキャリアを持つ営業マンとしての顔を持つ。勤める会社が需要減少により歯止めの効かない価格競争で疲弊する中、打開策として趣味として長く関わってきたアニメやアイドルなどサブカルチャーの領域に活路を見出した。「差別化が難しい販売業の中で、何か人にエネルギーを与えたり、共感してもらえるものを発信したかった」と小木曽氏は話す。

ストーリー設定やアニメキャラクターの製作発注、グッズ制作に至るすべてを小木曽氏がプロデュースし、「塗料屋サンライズ」がスタート。命名には、斜陽産業に光を照らし、小さな塗料屋でもできることがあるという思いを込め、あえて"塗料屋"を冠につけた。

キャラクターには、刷毛、筆、ローラーとそれぞれ得意な塗装方法を持つ3姉妹「希(のぞみ)、叶(かなえ)、珠愛(たまえ)」に、猫を擬人化した司令塔役の「来夢(らいむ)」の4人が登場。クライアントのキャラクターと共演したノベルティやグッズをキャンペーンで配布するなど、顧客の販促活動を盛り上げる。

既にこれまで飲料メーカー、地醤油製造会社、飲食店、ガソリンスタンド、ソースメーカーなどとコラボ。Twitterでは2万人を超えるフォロワーを有しており、長崎県で開催したガソリンスタンドのイベントでは、キャラクターをプリントしたTシャツを求め、県外からもファンが訪れたという。更に1つ1つの活動がSNSで拡散され、クライアントの認知度向上に一役買っている。

こうした"企業応援活動"を後押しするのが、実在の女性アイドル。アニメキャラクターが現実社会に飛び出した設定で、女性アイドルがイベント会場に駆け付け、一緒に現場を盛り上げる。またそれぞれがSNSで活動内容を発信し、ファンを拡大させている。

業界内でも同社の存在を知る塗料販売店や塗料メーカーが展示即売会やPR活動に活用するなど、着実に露出を高めている。最近では、エアゾールタイプの防錆プライマーや高弾性ウレタン塗料で新規展開を図る斎藤塗料が同社とアンバサダー契約を締結。先日、幕張メッセで行われた高機能塗料展にも女性アイドルが駆けつけ、ブースを盛り上げた。

「高級な料理よりも、キャンプで作ったカレーを美味しく感じる人も多い。ストーリーや共感できるものに人は惹きつけられる」と小木曽氏。今後も企業の宣伝活動を支援する他、キャラクターをあしらった商品販売なども積極化していくとしている。