日本塗料工業会は3月、「平成28年度塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」を刊行した。

平成28年度の塗料が占めるVOC排出推計量は26万トンとなり、基準年度である平成12年度の53万5,000トンと比較して51.4%削減した。

環境省は、固定発生源からのVOC排出総量を平成12年度に比べ、10年後の平成22年度に3割程度抑制することを目標に取り組みを進めてきた。その中で塗料、塗装分野のVOC排出量は45.0%減と大きく目標を上回り、以降も排出抑制の取り組みを続けている。

塗料における大気へのVOC排出量は、日塗工が集計を開始した平成15年度から全体的に減少傾向にある。平成28年度のVOC排出量が平成15年度に比べて大きく削減した分野は、自動車・新車、建物、建築資材、木工製品で、それぞれ4万6,000トン、3万1,000トン、1万5,000トン、1万5,000トンの減少。国内塗料販売出荷量は平成15年度の144万5,000トンに対し、平成28年度は118万7,000トンと塗料出荷量の減少がVOC排出量減少の一因となっている。

塗料出荷量1,000トンあたりの塗料に含まれる溶剤と希釈シンナーの合計VOC含有量は、平成15年度の332トンに対し、平成28年度は262トンと21.1%減少。また国内出荷量における低VOC塗料の比率は平成15年度47.0%に対し、平成28年度は59.1%となり、12.1%増加。日塗工は「低VOC塗料への移行は進んでいるが、移行が鈍い分野もある」と業際間の協力を求めた。