"手ケレン工具"のニューフェイス「Blastriker」

ケレン工具の販売を行うG-TOOL(本社・愛知県名古屋市、代表者・後藤ひと美氏)は6月、1種ケレンに対応するブラスト面形成動力工具「Blastriker」(ブラストライカー)の販売を開始した。同品は、同系会社のゴトー電機(本社・長野県伊那市)が開発・製造した製品でブラスト性を保持しつつ、環境負荷低減と安全性を確保したのが特長。「ゆくゆくは海外にも広げていきたい」(営業・後藤伸太朗氏)と普及拡大に手応えを高めている。


さびや旧塗膜を除去し、きれいな鋼材面を露出させるケレン作業において、研削材を使うブラスト工法や剥離剤を使った化学処理が目立つ一方、ハンドツールの動力工具も不可欠な存在。大がかりな設備を要しない点や取り回しの良さから常備不可欠なツールとなっている。
ただ現状、電力工具の内、ディスクサンダーは2種ケレン、ワイヤーブラシは2種ケレン以下と機械特性から素地調整1種レベルは得られない。そうした状況に着目し、開発したのが「ブラストライカー」。1種ケレンに対応するブラスト面形成工具として製品化を実現した。

「ブラストライカー」は、五角形のユニットの角隅に円筒状のブレード(鋭利な鋸刃様)を装着し、それぞれブレードが回転し、打撃を加えることでさびや旧塗膜を剥離し、清浄なアンカーパターンを形成するハンドブラストツール。打撃点あたりの打撃エネルギーは、0.045N・mと従来市販品1.6倍の強度を確保。打撃回数は1秒あたり1万9,000回を実現した。
これを可能にしたのが、主軸と複数の副軸で構成する独自の動力機構。

主軸でユニット全体を回転させながら、遊びを設けたブレードは副軸内で遠心力を最大限高めることで打撃力を飛躍的に向上することに成功した。「遊びを設けたことで叩いた直後にブレードを逃がすことができる」と歯が塗面に引っ張られることなく、的確に打撃を加えられる。
ディスクサンダーとの作業性比較では、さび面の処理速度(㎡/h)において約1.4倍、日当たり施工量(㎡/日)で1.25倍の処理スピードを実現。塗装面では、処理速度、日当たり施工量とも約2倍の処理スピードを確認した。加えて、連続8時間以上の使用においてもRz JIS(表面粗さ測定)で平均40μmを確保し、安定した粗度形成能力を証明した。

こうした施工性の高さを武器に同社は、研削材を用いた一般的なブラスト工法と比べても工期、コストとも削減に寄与すると実用性をアピール。「研削材を使用しないため、防護費用や産廃処理費用が抑えられる」と約30%のコスト削減効果を提示する。必要設備も同品の他、専用工具と発電機のみと、スタッフ1人でできる手軽さも魅力となっている。
更に「ディスクサンダーなどでは、歯を塗面に当てるため若干の角度を設ける必要があるが、同品に角度の制約はない」と利便性の高さもアピール。同品を上下に動かすことで剥離作業が行えるという。
本体価格は6万円前後で交換ブレードの価格(定価)は約2万8,000円/個。一般的なディスクサンダーと比べると割高となるが「ブレードの耐久性(約8時間)も4倍以上高くなる」とコストパフォーマンスの高さをアピールする。

6月の発売以降、営業展開を活発化させる一方で、注力するのが製品ラインアップの拡充。「ユニット自体に3cmほどの厚みがあるため、隙間や入隅、ボルト側面の対応できる新機種の開発に着手している」と説明。年明けにも薄型で出力を高めた「パワータイプ」を投入する意向だ。

「ブラストライカー」の投入の経緯について後藤氏は、「(製造会社の)ゴトー電機には電子制御型の抵抗器に始まり、50年以上に及ぶモノづくりのノウハウがあり、ブラストライカーにおいても自信を持って販売できる製品に仕上がった。橋梁を中心に耐用年数の長期化を目的とした素地調整が求められる中、粉塵飛散・騒音の低減や作業者の安全確保の観点から動力工具の有用性も高まっていくと見ている。発売以来、少しずつ発注者からの指定が増えており、今後も展示会や実演デモを積極化していきたい」と説明。国内の特許取得を完了しており、現在は海外の特許取得に着手。今後は海外にも販路を広げる姿勢を見せる。

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