日本塗装工業会は3月16日、東京・渋谷の塗装会館で業界専門紙に向けた定例記者会見を開いた。同工業会の発信力強化の一環として昨年から行っているもので、今回が2回目。令和4年度の下半期の活動報告を中心に会見を行った。

今回の記者会見の中で時間を割いたのは、3月9日に塗装会館で行った「女性会員および後継者との意見交換会」について。東京・神奈川ブロックの女性会員及び後継者5名と、加藤憲利会長ら執行部が行った意見交換会の模様を詳報した。

日塗装は、塗装工事業における「女性活躍社会の実現」に向けての取り組みを強化している。一昨年から「建設女子ビューティーセミナー」を開催して業界内外へのアプローチを強めるなど、女性が活躍できる職業への改革に注力。女性が活躍できる職種・職場にすることで、担い手不足の解消や、塗装工事業を魅力ある産業へ進化・発展させたいとの狙いがある。

その一環として今回、会員企業の女性経営者や幹部、後継者らと意見交換を行い、塗装現場で女性が働くことの実態や課題など生の声を聞いた。

意見交換会の中では、ほとんど男性しかいない業界で女性が働くことのまわりからの見られ方や、トイレや更衣室の未整備の問題、逆に女性を受け入れるための過剰な反応や気のつかわれ過ぎもストレスになるなどの声が聞かれた。

また、家庭や子育てと両立しやすいフレキシブルな働き方への提言、女性単身ではなくグループ化による働きやすさのバックアップ、女性の能力が生きる仕事の創出など女性が活躍しやすい職場づくりへの意見も出された。

加藤憲利会長(写真中央)は記者会見で、「日塗装の会員会社の職人さん約1万5,000人のうち、女性は700名と5%にも満たない状況です。全職種の平均が30%ほどと言われていますから、この差を逆に伸びしろと捉え、女性の担い手が増え、活躍しやすい業界への方策を探っていきたい」とコメント。今回の東京・神奈川ブロックを皮切りに、残りの9ブロックについても開催していく意向を示した。

記者会見における報告事項ではこの他、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録技能者の数が、会員企業の全技能者の4割を超えたこと、特定技能外国人の受入に関して会員証明書の発行を既に33社完了したことなどの報告があった。