防錆力と省工程を両立「パワー防錆シリーズ」
超高膜厚を実現

防食塗料分野において染めQテクノロジィ(茨城県五霞町、社長・菱木貞夫氏)の存在感が高まっている。独自のナノテクノロジーを生かした塗料開発により、防錆力と省工程化を高いレベルで両立、大手企業や大規模物件での採用が相次いでいる。鋼構造物などインフラメンテナンスの膨大な市場が視野に入ってきた。


ロングセラー商品の「ミッチャクロン」を始め、ホームセンターでブームを巻き起こした「染めQ」、そして塗り床市場で急速に広がっている「床塗料シリーズ」など同社の製品の基盤はいずれもナノテク技術にある。塗料の各種組成をナノ粒子化したことで、被塗物表面の微細な凹凸の最深部まで塗料が浸透し、接触面積が増大することで得られる強力な密着力が製品の特長を際立たせている。

今、市場で注目が高まっている同社の防錆塗料「パワー防錆シリーズ」もナノ粒子化による密着力が鍵になっている。「サビは水と空気が介在することで生成されますが、防錆顔料を配したナノ粒子レベルの塗料が素材の最深部に浸透、密着し、水や空気が入り込む余地を作らないことで高い防錆力を発揮します。塗料成分による化学的な防錆に加えて空隙を作らない機械的な防錆によって高い効果が得られるのが特長。密着力イコール防錆力とも言えます」(担当者)と説明する。

需要家にとってパワー防錆シリーズを採用した際の直接的なメリットは、「ライバルは溶融亜鉛メッキ」(担当者)という高い防錆力と省工程化によるコストメリットを両立している点だ。

例えば、2種ケレン→弱溶剤系変性エポキシ樹脂錆止め塗料2回→ポリウレタン樹脂中塗り→フッ素樹脂上塗り塗料(合計膜厚175μm)といった従来の重防食塗料仕様に比較すると、同シリーズの場合、3種ケレン→下塗り(パワー防錆EP039)2回→上塗り(同AP089)1回で合計膜厚200μmを確保。超膜厚型の「パワー防錆EP1000」に至っては1回塗りで75~150μmのハイビルドな塗膜を形成。錆面、溶融亜鉛メッキ、ステンレス、アルミ、コンクリート、磁器タイル、旧塗膜面など幅広い被塗面に直接使用することもでき、究極の省工程化を実現する。

更に、ナノテク技術による超微粒子化で錆の隙間に浸透して固めるため、防食塗装で最も手間のかかる下地調整を3種ケレン程度の軽微な作業で済ますことができ、人件費に伴うコストを大幅に軽減することができる。

このケレンレスに関しては、「ノンケレン」の頭文字を商品名にした「パワー防錆NKRN」を近々発売する予定で、防食塗装のネック「ケレン」の問題解決品として大型商品に育てたい意向だ。

年単位の省工程実現

「パワー防錆シリーズ」の大手企業での採用が相次いでいる。自動車メーカーによる各種製造・整備用機械の防錆用途や空調機器メーカーによる空調機器の錆穴補修、食品工場の醸造室躯体防錆、運送会社のトラックのシャーシ防錆、そして大手製鉄所のクレーンやタンク、工場建屋の塩害対策など採用、用途は多岐にわたる。「鉄の専門家である製鉄会社にも認められている実力」と胸を張る。

更に、同シリーズのセールスポイントである省工程化が注目され、今秋、大型案件での採用が決まった。沖縄県の大規模エネルギー施設において、煙突塔の改修工事1万3,000㎡でパワー防錆が採用された案件だ。

当初、11月に工事を始め、台風の到来に備えて6月頃に一度足場を解体し、台風シーズンが去った10月末に再度足場を組んで工事を再開、2年がかりの改修工事が予定されていた。

パワー防錆の評判を聞きつけたエネルギー施設側が染めQテクノロジィにテスト施工を要請、その結果、要求する防錆性能を満たす上、従来予定していた4工程の仕様が2工程で済むことから台風シーズン前の6月に工事を終えられると算段、パワー防錆の採用が決まった。2年がかりの工事を1年前倒しで完工できるという多大なメリットが期待されている。

「劣化した橋梁が多く残されている問題、火力発電の再稼働、道路や鉄道の維持保全などストック社会の中で鉄を守る重要性がますます高まってきます。また、インフラばかりでなくちょっと街を見渡せば多くの錆がすぐ目につくように、私たちの生活の近くにも防錆のニーズが転がっている。当社ならではの技術で社会や暮らしに貢献できる事業を進めていきたい」。



通常の塗料
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染めQテクノロジィの「ナノテク技術」
染めQテクノロジィの「ナノテク技術」
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