不適切コンサル問題で揺れているマンション改修設計業界で、初の業界団体となる「マンション改修設計コンサルタント協会(MCA)」が発足した。不適切コンサルの排除へ向けた施策とともに、改修設計技術の高度化、若手技術者の育成などマンション改修設計業界の底上げを図る。

MCAは昨年11月9日に一般社団法人として登記。発起人を代表して初代理事長に就いた貴船美彦氏(翔設計=写真)は12月20日に開いた記者発表会であいさつに立ち、「マンションストックが増大し続ける中で、改修需要の拡大に追いつくため我々コンサルタント業界の更なる高度化が必要です。一方で、不適切コンサルの存在は業界の失墜につながる大きな問題であり、団体の活動を通じて是正していきたい。業界の発展、マンション住人のためのコンサルタント業を貫く礎にしたい」と設立主旨を述べた。

マンション改修の設計コンサルタント業には資格や規定がなく、これまで業界団体もなかった。こうした野放しの環境の中で、技術力やコンサルタント能力の質のバラつきだけでなく施工会社との癒着やバックマージンの要請が横行するなど、不適切コンサルの存在が社会問題化している。

その是正に向けて管理組合や管理会社、管理士会、施工者などマンション改修に関連した諸団体が「マンション関係団体連絡協議会」を設立、適正取引に向けた情報の共有、連携を申し合わせている。同協議会では、マンション改修設計コンサルタントの業界団体の設立と協議会への加盟を要請、今回のMCA設立の動きとなった。

MCAでは法令遵守や利害関係の排除などの倫理規定を特に重視、基本理念に据えた。また、マンション改修設計業務に標準的な指針がないことがトラブル発生につながっているとし、技術的な標準づくりを目指す他、標準契約書や標準コンサルタント費用なども整備していき、不適切コンサルの排除に効果を発揮させていきたい考えだ。

更に、マンション改修の専門的な知識、技術力、コンサルタント能力を持つ若い人材の育成も急務とし、技術教育にも力を入れる予定。

全国の有力な設計コンサル会社30社が既にMCAに加盟、「少なくとも100社以上の加盟を目指し、市場で一定の存在感を持つ団体になりたい。社会の要請にきちんと応えられる業界の整備を目指す」(貴船氏)。

尚、MCAへの入会はマンション改修設計コンサルタント業務を行う一級建築士事務所で原則法人単位の加入。入会金(及び月会費)は5名以下が2万円(5千円)、6名以上が5万円(1万円)。

マンション改修設計コンサルタント協会TEL.03-6804-2513。