先進的なリノベーションで知られるブルースタジオが設計企画監理を行った「アーバンリゾート代官山」が完成。カー用品店やレストラン、オフィスが入る複合ビルが都心のリゾート、文化の発信地として生まれ変わった。

同ビルは駒沢通りと旧山手通りが交わる鎗ヶ崎交差点付近に立地し、恵比寿駅、中目黒駅、代官山駅から徒歩10分圏内となっている。それぞれの頭文字をとって「E・N・Dエリア」とし新しい文化の発信地と位置づける。また、「都心の中のリゾート」をコンセプトにし、1階にはカーライフを楽しむ人のためのカフェとギャラリーを併設した。5階から8階には同エリアを拠点とするクリエーター向けのSOHOとして貸し出す。

ブルースタジオの大島芳彦氏は「それぞれのエリアの中間に位置している。中目黒は飲食店が多く、代官山はファッションの店が軒を連ね、恵比寿にはオフィスが増えてきている。このように個性が異なりながらも、東京を代表する要素がつまっている。ここから新たな文化の発信地、それを支えるシンボルとしていきたい」と説明する。

同ビルを所有するのはアーバンリゾートグループを運営する佐藤商会。同ビルは1970年に竣工。鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上10階建てで、同社の本社機能を中心に事業拠点としての機能を担ってきた。今回創業80年を前に、同ビルの耐震補強を含めた全面リニューアルを決めた。

それに伴い、1階にはワンランク上のカーライフを演出するギャラリー兼カフェ「Podium」を新たにオープン。ギャラリーにはカーライフを楽しむ商品やドライビングシューズの即売会なども開く予定。テラス席には植栽を植え都心のリゾートを演出。同ショップのコンセプトである「木立の中のガレージリビング」を表現している。

3階部分のチャイニーズレストラン「KADAN」は内装を一新。新コンセプトは「上海レトロ」とし、1920年代の華やかな中国をイメージ。一部の壁には中国の洋館にも使われたいぶしれんがを使用している。更に、1970年当時から使っていた花のロゴマークを一部刷新。もともと中国料理の円卓を囲む人々と、中国伝来のザクロの花をイメージした6枚の花弁を描いたマークに、「人や地域とのつながりをより大切にする」という意味を込めた。それに伴い、柱や一部の壁にはざくろの木をあしらった壁紙を採用している。

同ビルの内装壁や天井はほとんどが塗装による仕様になっている。大島氏によると特に壁や天井などのコンクリートが現わしになる場合に塗装仕様にすることが多いという。「壁紙を貼るには一度下地壁を作らなくてはいけないためその分時間も手間もかかる。それだけでなく、塗装はコンクリートの無骨な迫力を再現できる効果的な仕上材」と塗装のパフォーマンスの高さを評価。