ミャンマー技能実習生の採用を支援
日本語習得度で早期戦力化

ミャンマー技能実習生の採用支援事業を行う一般社団法人リ・クリエイトアジア(東京都品川区、代表理事・山岸大輔氏=ヤマギシリフォーム工業代表取締役)が事業展開を加速させている。建設現場で職人不足が深刻化する中、同団体は施工業者と塗料販売店が理事を務める強みを生かし、塗装を中心とした建設産業向けの展開を推進させたい考え。昨年4月に特定技能が創設されるなど外国人材の受け入れ制度が整いつつある中で、労働力における外国人材の存在感が高まっている背景がある。


リ・クリエイトアジアはミャンマーの送り出し機関と連携して、日本企業の技能実習生採用支援と来日前の現地事前教育を事業の柱としている。採用が決まってビザ取得までに要する6カ月間を有効活用し、同団体が運営する日本語学校で日本語能力の向上と基礎的な技能の習得を図る。

通常、現地の送り出し機関が日本語学校を運営し技能実習生の採用支援を行っているケースは多いが、日本語能力の水準で不満を持っている受け入れ企業は少なくない。

受け入れ企業としての実績も持つ山岸代表理事は「当社では約20年前から技能実習生の受け入れを行っていて、当時は中国人の方でしたが、日本語を話せない状態で来日することが多くありました。建設現場のルールやマナーは厳しくコミュニケーション能力が求められるため、半年から1年の間、実習生は雑用と日本語の勉強に時間を費やすことになります。この制度の目的は労働力ではなく技能移転ですが、現場の戦力にならなければ会社としては負担でしかありません。結局10年ほどで止めました」と当時を振り返る。

その後、知人からの誘いでミャンマーの文化に触れ、5年前から同国の技能実習生の受け入れをスタート。これまでに27名を採用し、その多くが3年経過後の4年目、5年目と延長を希望、あるいは既に再来日を果たしている。そうした経緯もあり、山岸氏が中心となって2018年6月にリ・クリエイトアジアを立ち上げた。これまでに受け入れ企業30社、技能実習生350名の実績がある。

塗装関連団体だからこその強み

リ・クリエイトアジアの特徴は塗装関連企業による団体ということだ。代表理事の山岸氏の他、監事にティーエスケー代表取締役社長・竹内一氏、理事は磯部塗装代表取締役社長・磯部武秀氏、荻野化成代表取締役・荻野圭輔氏、横浜化成代表取締役社長・小澤洋一氏といったように塗装を主とした施工業者と販売店から構成されている。専務理事としてはミャンマーの技能実習制度で長年のキャリアを持つ院田浩利氏が務める。

同団体が強みとするのが運営する日本語学校のカリキュラムの充実度だ。「目指しているのは基本的な日本語が理解できる日本語能力試験N4を来日前に取得すること。そのためのカリキュラムは整備しており、継続的に教育水準の向上を図っています。加えて建設業における専門的な日本語もある程度教えています」として、実習生が日本での作業や生活にできるだけスムーズに入れるようにサポートする。

技術訓練に関しては、塗装技能士試験の講師を務める技術者が現地に赴き指導を行う。ただし、あくまで重視するのは日本語能力の向上であり、技術訓練は来日直前の1週間~10日間で基礎的な内容(塗装、防水、タイル)となっている。合わせて建設現場のマナーやルールについても教育する。

その他にも塗装を中心とした建設業に関わる企業による団体だからこそ、受け入れ企業へのサポートはより実践的なもの。「受け入れを検討している日本の企業、特に建設業の方々に対してこの事業の良さや意味合いをお伝えできる。我々は受け入れ企業でもありますから、その立場でアドバイスできることもあると考えています」。

入管法改正、外国人材の存在
労働力から経営幹部や高度人材へ

国内の少子高齢化が進むにつれて労働力の確保の難しさや人手不足の深刻さは増すばかり。その中で外国人材の存在感は高まり、今後はさまざまなポジションでの登用が予想される。

山岸氏は「建設現場は人手不足の状態が続いています。その対策として海外の人材に目を向けるのは必然と思っています。実際に外国の方を見ない現場はないですから」と現状を語る。更に今後を考えたときに技能実習制度の意味合いが変わるとの見方を示す。

「現状は職人不足と言われていますが、これからは国家資格など高度技術を必要とする人材も不足してきます。そこで日本人と同じような高度技術やマネージメント業務の人材を育てようとするとき、留学生の新卒を採用するケースがありますが、技能実習生からの入口も考えられます。コミュニケーションが取れなくても単に労働資本が欲しいと考えるのはナンセンスです」

昨年4月に出入国管理及び難民認定法(入管法)が改正され、特定技能が創設された。技能移転の技能実習制度とは異なり、人手不足を補う労働力の確保という意味合いが強く、特定技能1号では最大5年、特定技能2号では日本滞在の制限がない。特定技能の取得には技能及び日本語能力水準の資格が必要だが、技能実習を修了した外国人は試験が免除される。

外国人材受け入れに変化が見られる中、山岸氏は「この先どうやって労働力を確保していくのか。技能実習制度は労働力確保の制度ではありませんが、これをきっかけとして彼らと人間関係を構築して高度人材に成長させる。我々としてはそのための支援を行っていきたい」との意向を述べる。



山岸大輔代表理事
山岸大輔代表理事
実習生採用の流れ
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