塗料の概念変える自然塗料
グラフェン配合塗料国内販売へ

世界最先端の注目素材「グラフェン」を配合した塗料の国内販売が始まる。東京都八王子市の塗料ディーラー・安全塗料(社長・溝口一成氏)がスペインの塗料メーカー・グラフェンストーン社から導入した建築内外装向けの自然塗料「AmbientPro+Premium」は、「塗膜の強さ、割れへの耐性、そして環境浄化作用のいずれにおいてもこれまでの塗料の概念を超える塗料」(溝口氏)とし、市場への案内を始める。


安全塗料が国内販売に乗り出す「AmbientPro+Premium」は、漆喰(消石灰)を主成分にグラフェンと鉱泉水などで構成する合成樹脂フリーの自然塗料。漆喰の持つCO2吸着、調湿、抗菌、防カビ、防虫などの機能に加えて、配合された酸化チタン光触媒によってCO2やNOx、ホルムアルデヒド、臭いの分解などの効果が得られる。建築用塗料として建物の内外装に使用できる。

従来の主な塗料が石油由来の合成樹脂をバインダーにしているのに対して、同品は「グラフェン」という新たな素材で塗料としての性状を持たせているのが大きな特徴。

グラフェンとは、炭素原子がハニカム状に結びついている原子1個分の厚さの炭素原子シートのこと。厚さは1ナノ程度と極めて薄く、軽くてしなやかで透明な物質。炭素同士の結合が非常に強く、強靭性は鋼鉄の100倍以上、ダイヤモンド並みの硬度を持ちながら柔軟に折り曲げることができ、化学耐性や耐熱性の高さからシリコンや貴金属の代替としてさまざまな分野で応用が進んでいる最先端素材で、「カーボンナノチューブのシート版のイメージ」(溝口氏)だ。2004年に英国の2人の物理学者により発見・発明され2010年にノーベル物理学賞を受賞している。

今回、安全塗料が販売を始めるAmbientPro+Premiumはそのグラフェンを配合してつくられた初の塗料で、開発・製造元のグラフェンストーン社は特許を取得。世界30カ国で販売実績を伸ばしている。

硬さと柔軟性の相反する性質を持つグラフェンの配合に成功したことで、漆喰塗料のウィークポイントである"脆さ"を克服。「合成樹脂を使用していないのに、合成樹脂塗料以上の柔軟性を持ち、漆喰塗料で懸念されるひび割れをクリア。それでいて塗膜自体は非常に堅牢で、強く洗浄してもキズがつかないウォッシャブル(洗浄できる)な塗膜を形成。漆喰を主原料とした自然塗料でありながら、従来の石油由来の合成樹脂塗料を超える新たな概念の塗料」(溝口氏)と新規性を説明。

機能的には漆喰の持つCO2の吸着効果、吸放湿性による結露防止、強アルカリによる防カビや抗菌作用に加えて、光触媒酸化チタンによりNOx、ホルムアルデヒドなどの有害ガスや臭いが分解される。「天然由来成分による循環型社会への貢献、かつ環境浄化作用が高いプロダクトとしてヨーロッパで権威のある『クレードルtoクレードル(ゆりかごからゆりかごまで)』で最上位のゴールドの認証を取得。エシカル消費に向かう社会の中で説得力の高い商材」(同)とし、市場への案内を始める。

施工は刷毛、ローラー、スプレーに対応。標準2回塗り仕様で6~9㎡。当面は淡彩色を中心に展開する。



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