グラコのサーボ型電動ポンプ「E-Flo DC」が、電力消費量やCO₂の削減に寄与するとして自動車塗装工場を中心に採用を伸ばしている。「上市して約5年が経過しているが、この2、3年で導入台数が右肩上がりで伸びている」(担当者)と、省エネ投資の高まりを受け需要を伸ばしている。

「E-Flo DC」は、塗料循環用及び塗料以外の液体材料を送る圧送用ポンプとして開発した製品で、塗料ポンプへのサーボモーターの導入は業界初。回転位置や回転速度を制御できるサーボモーターの特性を塗料ポンプに応用した。

最大の特長は、従来のAC(交流)タイプに比べ、電気使用量を大幅に削減できる点。「実稼働条件テストを行ったところ、約3割の電力消費削減効果が得られた」と実証データを武器に営業展開を強めている。

特に大手企業を中心にカーボンニュートラルに向けた省エネ投資が活発化しており、1工場当たり30台ほど設置する塗料ポンプの節電効果が少なくないとの見方が強まっているという。「20年、30年と長く使い続ける機器だけに、費用対効果よりもCO₂削減の環境性能に対する関心が高くなっている」と話す。

その他の特長として、ブラシレスモーターの採用によりグリス注入が不要になるなどメンテナンス性が向上。またインバーターを不要にしつつ、ゼロ速時のトルク生成や低速速度における制限なしのモーター稼動を可能にした。「プログラム済みのため、現場でプログラミングする必要がなく、電源を入れてすぐに使用できる。また圧力制御と流量制御の選択が可能で、休業日でも塗料を傷めることなく循環を維持する」と話す。

塗料循環システムは、ワークの大きさや色数の多さなどから自動車や建機など限られた市場で使われているシステムだが、同社としては周辺機器から塗装工場の効率化を訴求していく方針。CO₂削減に寄与する省エネ機器として採用拡大に期待を高めている。