グラコは、液体移送用の新電動ダイヤフラムポンプ「QUANTM(クオンタム)」の販売を開始した。3月8日、オンライン形式で新製品発表会を開催、代理店に向け新製品の特長や機能を紹介した。

「クオンタム」は、一切のエア使用を不要にした完全電動型の電動ダイヤフラムポンプ。モーターを内蔵することで最小1インチとエア駆動式ダイヤフラムポンプ並みの接地面積を実現した他、省エネルギー性、静音性、接液部品における従来製品との共通化を確保し、性能とコストパフォーマンスを両立した。

狙うのは、エア駆動式からの置き換えだ。

「エア駆動式におけるエネルギー消費の大きさを指摘する声が高まっており、効率的なポンプ性能と微量のエアも必要としないクオンタムの優位性は高い」(担当者)と説明。特に電力費に関しては、「同サイズのエア駆動式で年間20万円のところ、クオンタムであれば5万円以下も可能と見ている」と電力コストの低減と、それに伴うCO2削減効果も訴求する。

ラインアップは、一般工業モデルと高衛生仕様のサニタリーモデルの2タイプを上市。一般工業モデルは、アルミ製のモーターのハウジング部分に粉体塗料による厚膜塗装を施し、耐久性、保護性能を強化。その一方で、強い化学物質が大気中にあると早期腐食を招く可能性があることから、サニタリーモデルは、ハウジング部分中心にFEPコーティングを塗布し、耐熱性、耐薬品性、摺動性、非粘着性を付与した。

2タイプとも防爆、非防爆タイプを上市。ダイヤフラムの漏れが発生した際にポンプをシャットダウンする漏れセンサー機能をオプションに加えた。

機種構成は、一般工業モデルで「i30」(最大吐出量120ℓ/分)、「i80」(同300)「i120」(同455)の3機種。サニタリーモデルは、「h30」(同115)、「h80」(同300)、「h230」(同455)に加え、固形粒子含有液体の移送を可能にする「h120"3"LP」(同380)と「h120"4"LP」(同300)の5機種を揃えた。

用途は、薬品、塗料・溶剤、オイル、水処理、インク、接着剤、食品などの液体移送。設置面積が小さく、省エネ性能を持つ内蔵モーター型の独自性を強みに、エア駆動式からの置き換え提案を積極化する。