少しニッチな話題をひとつ。内装リフォームの問題児「ビニール壁紙の裏打紙」の話である。
ビニール壁紙は通常、表層面と裏打紙の2層構造になっており、この裏打紙が曲者なのだ。
リフォームで壁紙を剥がす際、表層のビニール面は簡単に剥がれるものの、一方の裏打紙がなかなか剥がしにくい。下地の石膏ボードに多く残ってしまい、それに起因した問題が内装リフォームの現場でいくつか起こっている。
ひとつは、見た目のカッコ悪さ。斑(まだら)に残った裏打紙の上に壁紙を張り直すと下地のデコボコが目立ってカッコ悪い。このためリフォーム用の厚手のビニール壁紙が多く使われているが、デザインや意匠性が二の次になっており、野暮ったさが拭えない。
次は、不燃対応の問題。石膏ボードに裏打紙が残ったまま壁紙の張り替えを行うと、厳密にはアウトだ。石膏ボードの基材同等とはみなされず、不燃基準から外れてしまう。ホテルや人の集まる場所など壁装に不燃対応が求められる施設では、裏打紙の撤去はマストだ。
そして3つ目は、塗装にとっても厄介者だということ。近年、塗装仕上げの上質さを好んで、壁紙から塗装にリフォームしたいとのリクエストが増えているが、裏打紙がそれを阻む。水性塗料をそのまま塗ると紙が膨らんだり縒(よ)れたりして、いつまで経っても仕上がらず、塗装にとっては難敵だ。
こうした数々の問題を引き起こすビニール壁紙の裏打紙を、きれいに剥がせる剥離剤が今年2月に発売された。開発、販売元は、建築資材販売のナガイ(本社・長野県飯田市)という会社。
製品名は「RePIKA(リピカ)」。これまでも接着剤メーカーなどから壁紙の裏打紙剥がし剤は発売されていたものの、剥離性能において現場を満足させるものがなかった。その不満を解消し、内装リフォームの市場で強く求められていた剥がし剤がようやく発売された。
「RePIKA」は、剥離成分の裏打紙への浸透性と湿潤状態をキープする長さのベストバランスを追求した自社開発製品。剥離剤を希釈し、砂骨ローラーで裏打紙に塗布。10~25分のオープンタイムをとって剥がすと、ビニール壁紙の裏打紙がきれいに除去できる寸法だ。
「剥離性能において、壁装業界ではインパクトのある製品に仕上がったと思う。最近、壁紙から塗装仕上げへというリフォームも増えているようなので、そのようなときの裏打紙の撤去にはバッチリな剥離剤。塗料・塗装業界には販売ルートがないので、専門商社さんなどとタッグを組めれば」(同社インテリア事業部・松島慎吾部長)と意欲的だ。
これまでにない剥離性能を持った裏打紙剥がし剤の「RePIKA」。店舗や住宅など内装リフォームの塗装現場で活躍しそうだ。
◇ナガイ・インテリア事業部TEL03-6434-9840
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