工業塗装専業者のヒバラコーポレーション(本社:茨城県那珂郡東海村、代表取締役社長・小田倉久視氏)は9月1日、経済産業省からDX認定事業者として認定された。
DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定などに対応する企業を国が認定する制度。
小田倉社長は「当社はいち早くデジタル技術を活用し、業務の合理化・省力化を積極的に推進してきました。今日ではその活用は社内にとどまらず、自ら開発したシステムをソリューションとしてお客様に販売するなど、デジタル化による業務改革は一定の成果を上げてきた」とDX推進について述べる。
今回、経済産業省が定めるDX認定制度に基づいて認定されたことで、社内外に向けてDX戦略を一層推進していく。

AI画像認識技術の可能性

同社ではこれまで社内のDX推進を実行しており、生産管理システムやIoTを活用した設備管理システムを導入している。これら既存システムについても継続的に機能拡充を進める他、蓄積したデータを利用するなど活用の幅を広げてDXを推進している。
更に近年はAIの活用を積極化している。AIを活用したロボット塗装や品質検査など生産プロセスのデジタル化をより推進し、工業塗装工場のスマート化を目指している。

例えば、同社が開発に取り組んでいるのがAI画像認識技術の活用で、塗装ラインにおいてワーク種別を判別し、あらかじめ設定された複数のプログラムのうちワークに対応する塗装プログラムをロボットに指示する。ワークをランダムにラインに流すことができるため、生産計画もフレキシブルに組み立てられる。
他にも、ワーク数を種別ごとにカウントすることで生産計画通りに進んでいるかリアルタイムで状況把握できたり、画像から流量をデータ化することで前処理薬剤の適量管理を見える化できたり、塗装ラインにおいてさまざまな活用法が考えられる。

同社はNTT東日本と共同で熟練工の技術を再現する塗装ロボットを遠隔で動かすプログラムの送信テストを実施。ロボット遠隔塗装の実現に向けた検証の第一弾として、ワークのAI画像認識による判定についてエッジコンピューティングを用いて行うなど継続的な技術開発に取り組む。
AI画像認識技術に関するシステムのいくつかは、同社の塗装ラインだけでなく、顧客の塗装ラインでの実績もある。現状でも問い合わせが増えているという。

工業塗装の技術伝承の難しさや人手不足といった問題が深刻化していく中、今後、同社としては外部への展開を本格化していく方針。DX戦略としても社内だけではなく、DX事業(ソリューション事業)を立ち上げて、「社内DX推進により得た成果をブラッシュアップして製品化、お客様のDXを推進するソリューションとして提供していく」方針。この事業は工業塗装分野にとどまらず、製造分野という大きな枠で新たなビジネス領域を狙うことで、業容拡大を目指していく。 9月に開催された「スマート工場EXPO」に出展。AI画像認識技術を紹介した。