ジルコニウム化成処理を増設、アルミ対応力を強化

カワサキ(本社・愛知県名古屋市、代表取締役・川崎智之氏)は素材変化への対応力強化のためジルコニウム化成処理装置を増設する。今夏には新工場の稼働を予定するとともに、名古屋市内にある本社工場を閉鎖し瀬戸市の工場に集約し一貫管理を行うことで生産体制の強化を図る。


瀬戸市の工業団地には瀬戸日の出第1工場及び第2工場があり、現在、第3工場を建設中だ。2年半前に瀬戸日の出第2工場を立ち上げ、粉体塗装設備とジルコニウム化成処理設備を新たに導入した。従来、前処理としてはリン酸亜鉛処理を行い、塗装設備は電着塗装と溶剤塗装であったため、塗装の対応幅を広げる狙いがあった。その成果が表れているという。

川崎社長は「実際、体制を整えてから分かったのだが化成処理+粉体塗装の需要は根強くあり、特にジルコニウムの採用が増えている。多いのが(他社の)リン酸鉄皮膜+粉体塗装の仕様から、防食性など性能を上げる目的でジルコニウム皮膜+粉体塗装に切り替えるケース」と話す。

アルミへの対応力整備

将来的なジルコニウム系の需要の伸びを見据えて設備強化を図る。新工場の化成処理についてもジルコニウム化成処理設備の導入を決めている。

需要増を見込む1つの背景がアルミ素材の広がりだ。同社の営業品目でもある自動車外装部品の一部では鉄素材からアルミ素材へと置き換わる兆しが見られている。自動車産業において、燃費向上に寄与する軽量化は必須課題になっており、軽量化が図れるアルミ素材に関心が高まっているからだ。

ジルコニウム化成処理設備を新たに設けることで、鉄素材用とアルミ素材用に分けることが目的だ。「他の化成処理と違って品質管理レベルが高いジルコニウムを扱うには、それぞれ素材に合わせて専用の化成処理ラインを設ける必要がある」との考え。

これにより、従来のリン酸亜鉛皮膜処理設備に加えて、ジルコニウム系では鉄用とアルミ用にそれぞれ専用の設備を持つことになる。対応できる塗装としては、カチオン電着塗装、溶剤塗装、粉体塗装の各種があるため、化成処理と塗装の組み合わせが多岐にわたり、顧客の要求レベルに応じた塗装仕様が提供できる。

また、このほど、名古屋市内の本社工場を閉鎖し、瀬戸日の出工場に移設する。従来かかっていた工場間輸送コストがなくなり、生産も一元管理できる体制になる。

新工場では塗装ロボットを複数台導入する予定。「外観品質レベルは自動車外板の基準をクリアできるものを想定している」と体制を整える。



カワサキ・瀬戸日の出工場
カワサキ・瀬戸日の出工場

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